関啓子『アムールトラに魅せられて』

関啓子『アムールトラに魅せられて』

 

ユーラシア・ブックレット No.144 『極東の自然・環境・人間』。

わずか63ページの、薄いリーフレットである。だから書評対象本として取り上げるべきかどうか、一瞬迷ったけど、内容のレベルは高く、下手に立派に製本された単行本よりよほど充実した読書感を味わえる1冊なので、加えることとする。

著者の関氏は動物専門家ではない。が、それだけに幅広い視野で、アムールトラの置かれた現状を書いてる。

アムールトラは、シベリアトラ、ウスリートラ、朝鮮トラとも呼ばれ、また中国では東北トラと呼ばれている。極東では最強の肉食動物だが、レッドデータ・ブックに記載された絶滅危惧種でもある。

なぜアムールトラはこれほど減少してしまったのか。

トラという動物は、案外繁殖力はあるのだそうだ。だから密猟などの影響も勿論あるものの、狩猟圧だけで、これほど危機的状況に陥ったとは考えにくいというのが、プロのハンター達の意見だそうだ。

やはり自然環境の疲弊・破壊こそが最大原因である。トラはその地域の生態系の、頂点に立つ動物である。トラの絶滅は、他ならぬその地域全体の生態系崩壊を意味する。トラを守ることは、地域を守り、人類をまもり、ひいては地球全体を守ることに繋がる。

トラ保護のための取り組みが、やっと行われるようになった。ロシア政府や、各国の各種団体、自治体や学校、さらに個人活動家たち。それらの活動もざっと触れられている。

それから、日本で生まれたアムールトラの障害児兄弟。釧路動物園のタイガとココアである。後肢に問題をかかえた彼らは、人工哺乳で育てられ、人々のアイドルとなった。・・・

アムールトラについて、その生態や現状を、駆け足で読みたい人に最適の1冊だと思う。
最後に。2009年8月25日に急死してしまったタイガ君、日本中に勇気と感動を与えてくれてありがとう!ココアちゃん、タイガ君の分も長生きしてね!

(2010.1.21.)

関啓子『アムールトラに魅せられて』

関啓子『アムールトラに魅せられて』

関啓子『アムールトラに魅せられて』

関啓子『アムールトラに魅せられて』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『アムールトラに魅せられて』極東の自然・環境・人間
ユーラシア・ブックレット No.144

  • 著:関啓子(せき けいこ)
  • 企画・編集:ユーラシア研究所・ブックレット編集委員会
  • 出版社:東洋書店
  • 発行:2009年
  • NDC:489.53(哺乳類・ネコ科)
  • ISBN:9784885958793
  • 63ページ
  • 登場ニャン物:アムールトラ
  • 登場動物:-

 

目次(抜粋)

序章 ロシア極東でアムールトラに会う
第一章 タイガの王者、アムールトラ
第二章 アムールトラをとりまく自然と人間
第三章 アムールトラを護る--環境教育とNGOの保護活動
第四章 対談 アムールトラの魅了--福田俊司(動物写真家)・関啓子
終章 日本でもアムールトラに会える--「タイガとココアの物語」
おわりに
参考文献

 

著者について

関啓子(せき けいこ)

一橋大学大学院社会学研究科教授。一橋大学社会部卒業。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。専門は、教育思想史、比較教育学、環境教育学。エスニシティ、エコロジー、ジェンダーをキー・ワードに人間形成を研究している。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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関啓子『アムールトラに魅せられて』

7.5

動物度

9.5/10

面白さ

7.0/10

猫好きさんへお勧め度

6.0/10

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