映画『ゴースト&ダークネス』

映画『ゴースト&ダークネス』

 

マイケル・ダグラス他主演のアニマル・ホラー。

この映画はテレビで見た。チャンネルを回していたら偶然この映画をやっていてたのである。

映画の中の光景と、パターソンという名前で、たちまち「あのライオン達の映画化だ」とわかった。
実はそれまで映画化されていたことさえ知らなかった(でもよく見たら私が持っている徳間文庫の表紙は映画シーンでした)。
最初の5分程度を見損なっただけで済んだのはラッキーだった。

ツァボの人喰いライオンは、ライオン好きにとってはあまりに有名な話である。
少なくとも135人が犠牲になった。下手するとその倍もいたかもしれない。
当時(1898年)は人種差別が公然と行われていた時代で、西洋人の作った報告にはアフリカ人犠牲者の正確な人数は記録されていなかったから人数不明なのである。
人喰いなんとかの猛獣伝説は世界各地に伝わっているけれど、このツァボのライオンたちの業績はずば抜けている。
他にこんなすごい猛獣は聞いたこと無い。

この映画はぜひとも動物好きな人に見て欲しいと思った。
変なSFXだの大げさなアクションだのは一切ない。
ライオンたちも影や目が見える程度で、全身は最後までほとんど見せない。そして銃弾があたればあっさりと倒れる。
等身大のライオンである。

だからかえって現実味が増し、百獣の王に対する畏怖と尊敬の念が深まるのだ。
最近のハリウッド映画は作りすぎていて非現実度があまりに高く、恐怖を感じられなくなってしまっている。
エイリアンなど架空の生物ならともかく、ヒョウやオオカミまですべてコンピュータで作った画像を平気で流していたりするが、私の目には非常に不自然で、滑稽なだけに見える。
だからこの映画の作り方には、私は好感を持てた。

 ・・・と書いてから、Amazonなどのレビューを読んだら、この映画、あまり評価が高くなかった(汗)。
そりゃそうだろう、これを最近流行の“実写版アニメ”みたいなSFX映画だと思って見た人なら、がっかりするにちがいない。
しかし、私のサイトの訪問者なら、まず動物ありきという方がほとんどのはずだから、きっと楽しめるのではないだろうか(内容が内容だから、楽しめるという表現はおかしいかもしれないけれど。)。

そもそも、ライオンがニンゲンを135人も殺したという事自体があまりに“非現実的な現実”だったのだ。
その現実の前では、さらなる加工は無意味だ。

しかしライオン達を責めてはならない。
ヒトは、この事件の10数年前に、かつては南アフリカにあふれるほどいたクアッガ(シマウマに似た動物)を絶滅させたばかりだった。
そして今頃になって、遺伝子工学の技術を使ってクアッガを再生させようとしている。

ライオンとヒト、どちらが身勝手か、問うまでもないだろう。

(2005.2.2)

原作『ゴースト& ダークネス』はこちら

映画『ゴースト&ダークネス』

映画『ゴースト&ダークネス』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

映画『ゴースト&ダークネス』

  • 出演: マイケル・ダグラス、 ヴァル・キルマー、 その他
  • 監督: スティーブン・ホプキンス
  • 原作:デューイ・グラム『ゴースト&ダークネス』
  • 1996年 アメリカ  上映時間110分
  • パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン

 


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