ヘリオット『Dr.ヘリオットのおかしな体験』

ヘリオット『Dr.ヘリオットのおかしな体験』

 

優秀な獣医でありながら、ふつうの飼い主的感覚も持ち合わせている先生。

ヘリオット先生は、イギリスの田舎で開業している獣医さん。

田舎ですから、患畜は、犬猫はもちろん、馬、牛、羊、豚、あらゆる動物を診ます。
この本は、ヘリオット先生が徴兵され英国空軍の一員として厳しい訓練を受けながら、故郷での動物騒動を思い出している本です。

猫の話は、第6章・第11章・第30章の三章くらいですけれど、猫好き=動物好きの方が多いですものね。
この本は猫好きなら面白いと思いますし、動物全般が好きな方なら必ず楽しめます。
ヘリオット先生の文章は面白いし、動物達は楽しいし、飼い主達はおかしい。
何より、ヘリオット先生は優秀な獣医さんでありながら、感覚というか視点が妙に素人っぽいというギャップがとても身近に感じられます。
こんな先生がうちの猫たちの主治医だったらいいなと、本気でそう思ってしまう獣医さんです。

一般に獣医さんが書いたエッセイを読んでいて感じることは、獣医さんって「お堅いお医者さん」のイメージとは正反対、陽気で楽天的でなんでも笑い飛ばしてしまうようなタイプの人が多いような気がします。
このヘリオット先生も同じ。よく考えればかなり惨憺たる場面のはずなのに、いつもおもしろおかしく楽しそうです。

でも、よく考えれば当然なんですよね。
動物達は、人間の言葉ひとつひとつの意味を理解するわけではない。
しかし人間の感情は人間同士以上に敏感に察知する。

もし獣医さんが、何事も堅苦しく難しく考える人で、常に最悪の事態ばかり想像して悲観的だったら、治る動物も弱ってしまう。
「大丈夫さ!なおるよ!」という明るさこそ、真の最高治療薬なのかもしれません。

(2003.11.24)

ヘリオット『Dr.ヘリオットのおかしな体験』

ヘリオット『Dr.ヘリオットのおかしな体験』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『Dr.ヘリオットのおかしな体験名』

  • 著:ジェームズ・ヘリオット
  • 訳:池澤夏樹
  • 出版社:集英社文庫
  • 発行:1981年
  • NDC:934(英文学)エッセイ、随筆 イギリス
  • ISBN:4087600696 9784087600698
  • 489ページ
  • 原書:”All Things Wise and Wonderful”
  • 登場ニャン物:デビー、バスター、ジョージナ、オスカー
  • 登場動物:犬、馬、牛、羊、豚、その他

 


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