藤田紘一郎『誰も知らなかった ヒトとイヌと寄生虫の愉快な関係』
寄生虫博士の医学エッセイ。ヒトのしあわせ、イヌのしあわせ。
『ドッグワールド』誌に連載された人気エッセイをまとめた本。
なので、イヌと、イヌの寄生虫が中心。猫は「イヌやネコに・・・」「ネコにも・・・」というような文脈で語られている場合がほとんど。
けれど、イヌとネコに共通してみられる寄生虫は多いし、さらに、ヒトにも同じ寄生虫が寄生したりする。
寄生しないまでも、刺したり噛んだり、あるいは、単に、見た目が気持ち悪かったり。
それに何といっても、藤田センセイの文章はユーモアたっぷり、おもしろ~い!
それに、イヌや動物たちとヒトとの関係は、動物好きなら誰だってウルウルしそうなくらい、純粋で感動的だし。
イヌを思う気持ちは、愛猫を思う気持ちに通じるし。
ネコがまったく出てこないわけでもないし。
というわけで、猫飼い主にもおすすめの本。
難しい医学書ではありません。
あくまで、読んで面白いエッセイ。
どうして愛犬に寄生虫がいることに気づいたか。
イヌの様子や症状はどうだったか。
どのように対処したか。
どんな駆虫・治療法があるか。
その寄生虫は、ヒトにも寄生するか。
こんな、ともすれば「気持ち悪い」といわれそうな話題を、明るく楽しく語っちゃう藤田センセイの筆力はすばらしい。
それどころか、読んでいるうちにこちらまで、寄生虫になんだか愛着がわいてきちゃうのだから、ほんとにすごい。
寄生虫と聞くとこわそうだが、実はそれほど怖がる必要はないのだ。
とくに体内寄生虫の場合、もし宿主におおきな危害を加えるような寄生をしたら、宿主が弱って、自分自身も危険にさらされる。
だからほとんどの寄生虫は、大人しく、静かに寄生する。
フィラリアのように、宿主を殺してしまうような寄生虫は、本当にごく一部なのだ。
面白おかしく読んで、寄生虫をもっと知ってあげてください。
案外、健気に必死に生きている子たちなんです。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『誰も知らなかった ヒトとイヌと寄生虫の愉快な関係』
寄生虫博士の医学エッセイ。ヒトのしあわせ、イヌのしあわせ。
- 著:藤田紘一郎(ふじた こういちろう)
- 出版社:成美堂出版
- 発行:1999年
- NDC:645.9(家畜)犬・猫
- ISBN:441500833X 9784415008332
- 255ページ
- 登場ニャン物:-
- 登場動物:イヌ多数、寄生虫たち
目次(抜粋)
- 第1章 イヌによくつく寄生虫
- イヌ回虫の幼虫と雄イヌは運命共同体
- イヌ糸状虫で結ばれるイヌと蚊の密接な関係
- その他
- 第2章 ヒトとイヌと寄生虫のビミョーな関係
- 砂場とイヌ回虫症の意外な関係
- サナダ虫はアトピー性皮膚炎を治す名医だ
- その他
- 第3章 ヒトとイヌとの距離
- ネパールには、イヌからヒトに生まれ変わるという教えがある
- ペットは、今や子ども以上の存在。だから法律があっても…
- その他
- 第4章 ヒトのしあわせ、イヌのしあわせ
- イヌたちはそれぞれ使命をもってくる
- ヒトはたくさんの贈り物を動物からもらっている
- その他