飯島奈美子『銀座のら猫物語』

飯島奈美子『銀座のら猫物語』

 

銀座の野良猫を守り続けて。

著者は7年間もの長きに渡り、毎日毎日、雨の日も風の日も、銀座は25箇所の餌場で、のら猫達に食べ物を与え続けてきた。

もともと銀座生まれの銀座育ち。銀座という街をこよなく愛している。農家出身だった父親の影響を強く受けた著者は、今や銀座の大地主なのだが、ちゃらちゃらとうわっついた所は全然ない。著者の目は、ほとんど庶民的と言える視線の低さで、しっかりと世の変遷を観察してきた。

この本はネコエッセイなのだが、と同時に、銀座史でもある。銀座という街を、これほどわかりやすく、かつ、楽しく、解説した本は他にないのではないか。この一冊を読めば、華やかな銀座がまた別の街に見えてくるだろう。

のら猫の生活は厳しい。
著者によると、飼い猫と違い、のら猫の場合は

子どもを生んでも二ひきが限度。今まで、三びき以上生んだ猫を見たことがありません。しかも、育つのはそのうち一ぴきあるかないかです。」

また、

寿命もとても短いのです。今までで、いちばん長生きしているのらちゃんで五年です。・・・でも、そんな猫は、実にまれで、たいていは一年か二年で死んでしまいます。

そして、著者はいう。

こういった理由で、のら猫はその寿命がうんと短いわけです。しかも、生まれる子どもの数も少ない。ですから、絶対数というのは(給餌しても)ほとんど変わらないのです。・・・のら猫が増える一番の原因は、心ない飼い主が、自分の飼っている猫やその子どもを捨てることにあるのです。

毎日25箇所も回って100匹単位の猫達の世話をしてきた人の言葉だけに、ずしんと重い。・・・

つい最近も、ある有名メルマガで、ある世論調査の結果をみた著名獣医師が、
「(飼い)猫の七割もが不妊手術を受けているというのは立派。野良猫が増えるのは餌やりおばさんのせい」
と発言していたが、とんでもない!
獣医師のくせに、無責任な発言をしないでほしい。

のら猫が増えるのは、無責任飼い主のせいです。不妊手術をしない飼い主のせいです。この本を読んで下さい。

上記のような記述もあるけれど、本全体としては、とてものびやかで明るく、楽しい本だ。
あまりに楽しすぎて、自分も明日から餌やりをしたくなる人も出てくるだろう。が、この本がこんなに陽気なのはあくまで著者の人格によるもの。凡人なら、毎日25箇所回るだけでヘトヘトになること間違いない。しかも著者は仕事もしていらっしゃるのだから大したものだ。

著者の観察眼をひとつ。

猫の毛色により、性格が違うという。著者によると、きじ猫と赤トラくんが、
「他の群を抜いて、人なつこい」かつ「予想外のことをしでかす変わり者でもある」。
うちのチャトランの人なつこさ、トロのユニークさは、どちらも赤トラ(茶トラ)故の性格か。

次に、白黒猫は「ある一定の距離を必ず保って、それ以上は近づいてこない“用心組”」だそうだ。

そして、「どうにもなついてくれないのが黒猫や三毛猫グループ」。
うちの三毛猫コンビ、みけとおつうは、どちらも人見知りが激しい。

(2003.9.15)

飯島奈美子『銀座のら猫物語』

飯島奈美子『銀座のら猫物語』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『銀座のら猫物語』

  • 著:飯島奈美子 (いいじま みなこ)
  • 出版社:三水者
  • 発行:1985年
  • NDC:914.6(日本文学)随筆、エッセイ
  • ISBN:4915607097 9784915607097
  • 211ページ
  • 登場ニャン物:カボチャ、タキシード、クロベイ、シロベイ、シマシマクン、その他大勢
  • 登場動物: -

 

 

著者について

飯島奈美子 (いいじま みなこ)

昭和30年より45年まで銀座にて婦人洋装店を経営。亡父の遺志をつぎ、昭和47年10月銀座能楽堂ビル建築。現在、能楽堂の他、小劇場みゆき館、雅楽スタジオ等のオーナーとして活躍。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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