池谷裕二『進化しすぎた脳』

池谷裕二『進化しすぎた脳』

 

副題:『中高生と語る「大脳生理学」の最前線』。

この本を猫本リストに入れるつもりは全然無かったのですが、中にちょっと面白いかも知れない図がありますので、紹介することにします。

その図とは、ネコのホムンクルスです。

「ホムンクルス」とは、もともとは、昔のヨーロッパの錬金術師が人工的に作り出した“人造こびと”のことだそうですが、脳医学で「ホムンクルス」というときは、動物の体型バランスが一見めちゃくちゃな、変な図のことを指します。
その図には以下のような意味があるそうです。

大脳皮質の表面積の比率にしたがって、体の大きさを変形して表した図。体の各部位の機能を受け持つ範囲が、大脳でどのくらいの割合を占めているかを示す。
(p48)

たとえば、ヒトでいえば、指、特に人差し指がとても敏感です。実際、大脳皮質の中で、人差し指に関係する部分は広い面積を占めています。だから、ヒトのホムンクルスでは、手は大きく描かれ、中でも人差し指が巨大に描かれます。
逆に、たとえば背中の皮膚は鈍感ですよね。人差し指なら目に見えるか見えないかくらいに細かい凹凸だって感じ取れるのに、背中の場合は、皮膚に押し当てられた物体の細かい凹凸なんかわからない。だから、胴体は小さく描かれます。

このようにして、色々な動物を、敏感なところ(=大脳皮質で大きな面積をしめるとこと)は大きく、鈍感なところは小さく描くと、その動物がどのような感覚器官に頼って生活しているか、一目瞭然でわかるようになります。

池谷裕二『進化しすぎた脳』

池谷裕二『進化しすぎた脳』

ヒトのホムンクルスは舌と指(特に手の人差し指)が巨大です。
ウサギのホムンクルスは、ほとんど口とそのまわりだけ(汗)。

そして、ネコのホムンクルスは、髭まわり、口まわり、そして四肢の先が大きく描かれています。
やっぱりネコのヒゲって重要なんですね!

そのホムンクルス画像をここに拡大したいけれど、あまり見せては著作権法にひっかかりそうなので(汗)、かわりに私の拙いイメージ画像を。
あくまで、ズブの素人が作った戯画です。科学に裏付けされた図ではありませんのでご注意ください。

まず、我が愛猫、トロの写真。でっぷりとしたお腹が目立つデブネコ。

池谷裕二『進化しすぎた脳』をもとに猫ホムンクルスを加工してみる

池谷裕二『進化しすぎた脳』

この画像をホムンクルスに加工すると、ヒゲまわりや手足の先が大きくて、胴が細くなるから、こんな感じ?(爆笑)

池谷裕二『進化しすぎた脳』をもとに猫ホムンクルスを加工してみる

池谷裕二『進化しすぎた脳』

食いしん坊のトロの場合、普通のネコのホムンクルスより、口まわりと舌が大きいかも知れません。(^^;)

この本は、高校生にもわかるように書かれた本です。
脳の仕組みについて、最新の研究結果を解説しながらも、身近な話題から説明にはいってくれるので、とてもとっつきやすく、読んでいて飽きません。
生物学に興味のある方には年齢を問わずぜひお勧めしたい本です。

(2007.12.12.)

池谷裕二『進化しすぎた脳』

池谷裕二『進化しすぎた脳』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『進化しすぎた脳』
中高生と語る「大脳生理学」の最前線

  • 著:池谷裕二(いけがや ゆうじ)
  • 出版社:講談社ブルーバックス
  • 発行:2007年
  • NDC:491(基礎医学)
  • ISBN:9784062575386
  • 397ページ
  • 登場ニャン物:-
  • 登場動物:-

 

著者について

池谷裕二(いけがや ゆうじ)

静岡市藤枝市生まれ。薬学博士、東京大学大学院薬学系研究科講師。科学技術振興財団さきがけ研究員。審問は神経薬理学、光生理学。1998年、海馬の研究により薬学博士号を取得。2002年~2005年コロンビア大学生物科学講座客員研究員。著書に『記憶力を強くする』(講談社ブルーバックス)、『脳はなにかと言い訳する』(祥伝社)、『海馬』(糸井重里氏との共著、朝日出版社)などがある。2006年に日本薬理学会学術奨励賞と日本神経科学学会奨励賞をダブル受賞。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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池谷裕二『進化しすぎた脳』

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7.4

動物度

8.5/10

面白さ

9.0/10

情報度

9.0/10

猫好きさんへお勧め度

3.0/10

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