町田尚子『ねことねこ』

『ネコヅメのよる』著者による絵本。
幼児用の絵本、と思ってください。ただし、とても魅力的な絵で、こういう絵に興味のある人であれば美術書として所有するのも有りかと思います。
ストーリーというほどのものもありません。「文章」というより「文字」と形容したほうが適切な程度、数語ずつの文章が各ぺージにあるだけです。
ねこ と ねこ、
おなじところ どこだ?めの いろが おなじ。

町田尚子『ねことねこ』
描かれているのは、さまざまな色や大きさの猫たち。短毛さん・長毛さん・子猫ちゃん。
どの子も個性豊か。やわらかそうな毛皮、印象的な目。合計11ニャン。
さすが町田尚子さんだと思ったのは、
登場する11ニャンのうち、3ニャンがさくら耳の猫たちだということです。しかも、、耳カットされていても、ちゃんと首輪もしていたりという細かい気配り。こういうところが嬉しいんですよね。
ああ、この子、いまはもう幸せなんだ・・・♪
さくら耳+首輪をみて、それをまず喜べる人に、この絵本を読んでいただきたいです。
もし子どもと一緒にみるのであれば、ぜひ耳カットの意味も教えてあげてください。まだ幼児だからわからないだろう、なんて考えずに、ぜひ説明してあげてください。幼児だからこそ、たとえそのときは意味がよくわからなくても、「さくら耳のねこ」の記憶は深く頭に残るはずです。お子さんが心優しい大人に育ってほしいと願うなら、どうかお願いします。
*耳カットとは*
猫は野生動物ではありません。9000年以上もヒトと一緒に暮らすよう進化してきた家畜、それが猫(イエネコ種)です。もともとはアフリカ原産の猫を日本列島につれてきたのもヒトです、。
当然ですが、猫には生きる権利があります。その一方で、猫が好きではない人たちがいるのも事実です。
今いる猫たちができるだけ幸せな一生を送れるよう、かつ、これ以上野良猫が増えないよう、多くのボランティアたちが自腹を切って、飼い主のいない猫たちに去勢避妊手術と、手術済の印・耳カットを施しています。V字型にカットされた耳がさくらの花びらのようにみえることから、「さくら耳」「さくらねこ」と呼ばれるようになりました。

町田尚子『ねことねこ』

町田尚子『ねことねこ』
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ねことねこ』
- 著:町田尚子(まちだ なおこ)
- 出版社:株式会社こぐま社
- 発行:2019年
- NDC:726(マンガ、絵本)児童書
- ISBN:9784772102445
- (22ページ)
- カラー
- 登場ニャン物:無名の子が11ニャン
- 登場動物:-