町田尚子『ネコヅメのよる』
猫を愛している人にしかわからないポイントがたくさん。
大判の、絵本です。とてもきれいな絵で、細かいところまで、とても丁寧に描かれています。
もしあなたが猫と暮らしていて、あるいはもし今は暮らしていなくても、猫のことを愛し猫の為に本当に考えている人なら、
「くすっ」
と思わず、頬を緩ませてしまうポイントが、何か所もあるのです。
たった32ページの薄い本ですが、その中に、猫への愛があちこち、隠し絵のように忍ばせてあるのです。たとえ猫飼いでも、ペットショップで購入した人気猫種を、たたぼんやりと飼っているだけの人では気づかないような、小さなことです。
でもそれらは、たとえば里親探しボランティアの方ならまっさきに目をつけるであろうような、重要な愛猫ポイントの数々なのです。
絵本ですが、最後のページも、必ず読んでいていただきたく思います。
私の想像ですが、おそらく著者は、この絵本をつくってから「あとがき」を書いた、のではなく、あれを言いたかったからこそ、この絵本を作られたのではないでしょうか。あそこに書かれた気持ちがあまりに強すぎて、だからこそ、本では、黒い背景にいぶし銀の文字という、きわめて読みにくい装丁にされたのではないかと。太字で大書されたら、うるさい感じで、かえって心に届きません。黒い紙に乗せられた、銀に光る小さな文字を、光にかざすようにして読むからこそ、ジンと心に染み入ってくるのです。
ですから、どうぞ、最後の一文字まで、読んでください。そして、そこに書かれてある内容を、忘れないでください。私からもお願いします。そしてこれは、愛猫家すべての願いでもあります。
町田尚子様。
すてきな絵本とメッセージを、ありがとうございました(=^・^=)
(2017年4月22日)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ネコヅメのよる』
- 著:町田尚子(まちだ なおこ)
- 出版社 : WAVE出版
- 発行年 : 2016年5月25日
- NDC : 913.8(日本文学・童話、児童書) 大型絵本
- ISBN : 9784872909432
- 32ページ、カラー
- 登場ニャン物 : 無名のたくさんの猫達 ただし、あとがきに、モデルとなった著者の猫の名前は「白木(しらき)」と書いてあります
- 登場動物 : ―
【推薦:かず様】
とても素敵な絵本に出会ったのが嬉しくて、本棚を訪ねてまいりました。
「ネコヅメのよる」は、猫さんだけが知っている不思議な夜のお話です。(町田尚子作、WAVE出版)
第一印象は、「絵が上手いな」と感じました。上手いだけじゃない、とてもよく観察しているし、何よりも猫が好きでなければ描けない。猫と暮らしているか、暮らしたことのある人の絵だと思いました。
登場するのは、ネコ、ネコ、ネコ・・・人間も他の動物も出てきません。
不思議な気配を感じて集まった、画面いっぱいのネコたちの眼差しは圧巻です。そして、ネコたちが思わず漏らす声が聞こえてきそうなシーン。何度も前のページに戻って見比べてしまいました。
お話にすっかり引き込まれて、そして最後の作者のことばが心にしみました。
買って帰ってからも、繰り返し眺めています。耳をカットした子に気づいたり、お皿からこぼれたカリカリに楽しくなったり、絵本にこんなに引き込まれたのは初めてです。胸の奥がほんのり温かくなって、ちょっぴり優しくなれたような、そんな気持ちになりました。町田尚子さん、ありがとう。猫が好きな人なら、きっと大切にしたい本になると思います。
*2017/06/04に掲示板の方にただきましたものを管理人が代理投稿したものです。