ディヤング『びりっかすの子ねこ』

ディヤング『びりっかすの子ねこ』

 

各国で大好評の童話ですが。

国際アンデルセン賞作家賞作家のドイツ児童図書賞受賞作。全国学校図書館協議会選定必読図書。「心温まる幼年童話」と、日本で、世界で、高く評価された作品です。

拙サイト掲示板にも推薦文をいただきました。

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【推薦:まめまま様】

 犬屋さんの納屋で生まれた、一番小さくて、一番グズで、一番みそっかすの黒い子猫、いつも寒くておなかが空いてて寂しい子猫が、一晩だけの冒険の末、やさしいご主人と、友達とあったかいおうちにめぐりあう、お話です。

 子猫のお友達になる犬が、目も耳もダメな老犬、その犬の飼い主で、子猫のご主人になる男性が、誰も祝ってくれない自分の誕生日に出会った子猫を「おたんじょうびのねこちゃん」と呼んで、ミルクを温めてくれる人・・・

 なんだかとても優しい気持ちがいっぱいのお話しです。・・・どうも童話がスキで(汗)

(2004.06.14)

ディヤング『びりっかすの子ねこ』

ディヤング『びりっかすの子ねこ』

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【推薦:きな様】

 子どもの頃、大大大好きでした。

 私が読んだのは初版(なんと66年出版)ですが(もちろんいまも手元にあり)、いまでも偕成社から出ているのですよね。
超ロングセラーですが、その価値は十分あります。
ジム=マクマランによる挿絵も素晴らしく、また原題の「THE LAST LITTLE CAT」を「びりっかすの~」、とした中村妙子氏の訳文も素晴らしいです。

 子猫には、最後まで固有の名前はつけられません。
というか、出てきません。
けれどこのお話はそこがいいのですよ~。
猫だけでなく、年寄りいぬにも、男性にも、固有名詞が出てこないんです。
場所も通りの名前も。固有名詞が無いことで普遍性を獲得しているというか・・・。
作者の幼いものや老いたものに対する細やかな愛情がやさしくやさしく伝わります。
妙な擬人化もされておらず、子猫の目線で物語りは綴られます。
「七軒の家、七つの庭。小さなまいごの子ねこにとっては、七つの海と七つの平野がつづいているのと同じでした」
子猫の目を通した人間社会の描写もいいんです。
意地悪な人や無責任な人が出てくるんですが、作者は「いじわる」とか書かないんですよ。
ただ、「そういう人」って感じで。

 >子猫を「おたんじょうびのねこちゃん」と呼んで、ミルクを温めてくれる人

 そうそう!
「とんでもないぞ、氷のようにからだの冷えた小さな猫に、氷のように冷たいミルクを飲ませるなんて!さあ、まずこれを暖めるんだ!」
で、ミルクを温める間、男性は子猫を抱いてストーブのそばに立っていてくれるんですよね。
おまけにこの男性は、犬のこともまた心から愛して大切にしているんですよね。

ただただ好きで読んでいた子どもの頃。
大人になって猫本を読むようになって、この本がどれほど繊細な心遣いで書かれていたかが、よーく分かりました。

くたびれた時に読み返したくなる一冊です。

(2004.06.16)

ディヤング『びりっかすの子ねこ』

ディヤング『びりっかすの子ねこ』

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私も、もしこれを小学生低学年とかで読んだのであれば、必ずや「とても面白い」と思い、大好きになったでしょう。

でも、この作品、大人になって初めて読みました。ぜんぜん楽しめませんでした・・・・・・。

***** 以下、ネタバレ含みます。ご注意! *****

ディヤング『びりっかすの子ねこ』

ディヤング『びりっかすの子ねこ』

*** しつこいですが、ネタバレ注意! ***

まず、子猫が生まれた場所。

「いぬの おりが ずらりと ならんだ、いぬやさんの なやのおく」です。このなやは、「もとは とりごやで、おくの はこは、すばこだったのです」。檻は壁際にずらりと並んでいるのですが、「いちばん 下のは、ゆかの 上。いちばん 上のは、おとなのせの たかさくらい」つまり、鳥かご(犬ケージではない)を何段も積み上げて、そこにいろいろな犬たちを1匹ずついれているのです。そして、犬たちは、「どれも ほえる いぬばかり。だまっているのは、一ぴきも いません」。

これって、まさに、悪名高きパピーミル(=子犬工場)そのものではないですか!

そして、子ねこの友達になる犬は;

ずらりと つまれた いぬの おりの、そのまた 上に、ぽつんと も一つ おりが あります。 (たった一ぴきの)だまっている いぬは、ここに いました。 おとなの せよりも まだ たかく、やっと おとなの 手がとどく たかさ。
一ぴき ぽつんとはなれているのは、(中略)いぬやさんの かいいぬだから。(中略)
いぬやさんの この かいいぬは、 とっても とっても としよりです。 目が みえないし、からだも きかない。 耳も ほとんど きこえませんし、 はなも さっぱり だめでした。
でも、 かんじることは、まだ、できるのでした!
page12

ディヤング『びりっかすの子ねこ』

ディヤング『びりっかすの子ねこ』

いぬやさんは、1日2回、としよりいぬにミルクを与えます。それだけです。幾日かたつのですが、その間、掃除をしている描写はありません。だから、びりっかすの子ねこがおりに入り込んで、としよりいぬと一緒に暮らしていたことには、まったく気づいていません。

そもそも、びりっかすの子ねこは、このいぬやさんの飼い猫の子なのです。お母さん猫は、「どぶねずみやら、いえねずみが、いぬの えさを ぬすんでいかないように、ここに かわれていたのでした。」なのに、いぬやさんは、子猫たちが生まれたことにすら、気づいていないのでした。

犬屋でありながら、こんな飼育法でよいのでしょうか?ネグレクトじゃないでしょうか?

読んでいて気分が悪くなりました。子供用のお話だということはわかっています。半世紀以上も前に書かれた話だということもわかっています。それでも、悪い印象はぬぐえません。

その、ネグレクト犬屋が、最終章でいきなり善人に変わってしまうのは、あまりな違和感でした。こんな男、信用できないぞ!犬屋が、良く描かれれば描かれるほど、私の中では不信感がつのります。だって、犬たちを鳥かごにいれて積みあげているような男でしょ?目もみえない、耳も聞こえない、でも感じることだけはできる老犬を、てっぺんのおりにおいているような男でしょ?そんな男が、どうしてよい飼い主になれるの?いかにもやさしそうな言葉が、私にはキモチワルイ。悪人でないとしても、とんでもない気分屋にちがいない!

ごめんなさい。
この童話を名作とほめたたえる人は多いのですよね。
各国語に訳されて、賞をとったりもしているのですよね。

でも、私には、この男、無理です。子ねこと老犬の将来が心配です。

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『びりっかすの子ねこ』
世界の幼年どうわ

  • 著:マインダート・ディヤング Meidert DeJong
  • 訳:中村妙子(なかむら たえこ)
  • 出版社:偕成社
  • 発行:1966年
  • NDC:933(ドイツ文学)
  • ISBN:4034090103 (改訂2版=9784035320500)
  • 120ページ
  • モノクロ
  • 原書:”The las little Cat” c1961
  • 登場ニャン物:びりっかすの子ねこ
  • 登場動物:犬

 


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ディヤング『びりっかすの子ねこ』

7.1

猫度

9.9/10

面白さ

6.5/10

猫好きさんへお勧め度

5.0/10

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