松谷みよ子『ちいさいモモちゃん』

幼児モモちゃんと、くろねこプーちゃんのおはなし。
本は、モモちゃんがうまれたときからはじまります。
2章目で、プーちゃんが現れます。
プーちゃんは、ちいさな、まっ黒なネコです。
じつは、最初はママが「クー」と名付けたのでした。
だってほら、
まっくろくろけの クー でしょ。
クマちゃんみたいな クー でしょ。
くいしんぼうの クー でしょ。ね、とっても、いい名前じゃありませんか。
page15-16
ところが、モモちゃんが「プー」にかえてしまいました。
こんなによい名前だったのに、なぜ変わってしまったのかは、本をお読みください。
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児童文学で有名な松谷みよ子氏の代表作。
さすが名作のほまれ高い本です。
大人でも、ひきこまれてつい読んでしまいます。
私自身、子供の時に、この本を絵本でもっていました。
その本がどこにいってしまったのか、今となっては思い出せませんが、そのくらいに昔のことです。
1960年代に書かれたモモちゃんシリーズ。
平成の今読んでも、ぜんぜん古さは感じられません。
それどころか、たのしくて、暖かくて、大人にとってはすごく懐かしい香りに満ちていて。
それでいて、今なお新しい発見ができる・・・
プーは、モモちゃんとだけでなく、大人のママともふつうに会話できます。
ジャガイモや、キュウリや、ソフトクリーム等とも会話します。
その辺はまさに幼児用の文学ですが、それらの何気ない会話の奥に、大人でさえ、いえ、大人こそハッとするような真実も隠されています。
この魅力は何だろう、と考えたとき、この本のテーマが、モモちゃんもですが、それ以上に、大人のママの成長を語った話であるからかもしれないと思いあたり、ちょっと得意になったら・・・巻末の「解説」で上野瞭氏もまさに同じことを書かれていました。
だが、ぼくが、「モモちゃん」シリーズで「成長」という場合、実は、主人公のモモちゃんだけでなく、それを見守る立場のママ・・・つまり、大人もまた成長するものとしてとらえられていることをいっているのだ。
page120
というわけで、
大人のあなたも、ぜひ、一読くださいな。

松谷みよ子『ちいさいモモちゃん』

松谷みよ子『ちいさいモモちゃん』
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『ちいさいモモちゃん』
- 著:松谷みよ子(まつたに みよこ)
- 出版社:講談社 講談社文庫
- 発行:1975年
- NDC:913.6(日本文学)小説
- ISBN:406138001X 9784061380011
- 124ページ
- モノクロイラスト(カット)
- 登場ニャン物:プー(クー)
- 登場動物:-