坪内稔典編『漱石俳句集』
漱石の句に深く頷く・・・。
夏目漱石が作った俳句は、生涯に約2600句だそうだ。
正岡子規と親交があった時代に特に多く作られている。
この本は、漱石が残した句のうち、計848句を、年代順に編集した本。
巻末に俳体詩も数編収められている。
俳句に興味があるからではなく、漱石という小説家が好きだから、丁寧に全句を読んだ。
彼は何を考えながらこんな句を作ったのだろう、その時、吾輩君のモデルとなった猫さんは膝にいただろうか、なんて事を考えながら。
・何となう死(しに)に来た世の惜しまるる
に、うんうんと頷き、
・秋風やひびの入りたる胃の袋
芸も何もない句だが、この直球的な表現に、漱石の胃病を知っている人なら誰でもドキッとするだろう。
猫句は残念ながら少ない。収録されていた猫句はすべて、「猫短歌離れ「文献で歌われた猫たち」
>夏目漱石2」に書きだしたので、そちらをご覧頂きたい。
(2005.9.2)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『漱石俳句集』
- 編:坪内稔典
- 出版社:岩波文庫
- 発行:1990年
- NDC:911(日本文学)詩歌
- ISBN:4003190041 9784003190043
- 359ページ
- 登場ニャン物:
- 登場動物: