横溝正史『音羽の猫』
明快解決で胸がすっきり。
最近は妙に嫌なニュースばかりあるような気がしていたところへ、とんでもない作家が現れた。
横溝正史氏のことではない。
1996年に直木賞を受賞した某女流ホラー作家のことである。
この某作家、さすがホラー作家なだけあって、実生活も、さらに思考回路も、作品をはるかに上回るホラーらしい。
ん?ということは、作家としての技量はたいしたことがないということか?
実生活を書いた方が迫力があるなら、作家としてのイマジネーションなんてたかが知れているってことだね。
これ以上は胸くそ悪いから書かないが、要するにこの女流ホラー作家は、犬猫大量虐殺犯だったことがわかったのである。
で、気分悪いので、本棚から「捕物帳」を選んで読んだ。
この佐七シリーズに限らず、捕物帳はどれも、単純明快な勧善懲悪の物語だ。
簡単な推理で犯人はあっけなくつかまり、にらまれただけであっけなく「恐れ入りました」となる。
私がもっと若かった頃は、なぜ例えば「水戸黄門」のような時代劇に根強い人気があるのか不思議だった。
とくにお年寄りが水戸黄門を好きな理由がさっぱり分からなかった。
あんな現実離れした、決まり切ったストーリーを毎週見て、何が楽しいの?と。
ところが最近はわかるような気がして来ちゃったんですよね。
歳を取れば取るほど、現実世界の矛盾や汚さ、裏事情や煩雑さがわかってきて、だからこそ、ああいう単純明快な勧善懲悪がかえって心地よい。
決まり切ったストーリーだからつまらないのではなく、決まり切っているからこそ安心してみられるのだ。
私も歳を取ってきたということなのかもしれないが(大汗)。
テレビをあまり見ない私は、テレビではなく本を手に取る。
最近、捕物帳を頻繁に読んでいるような気がする・・・(汗)。
で、さてさてこの『音羽の猫』。
文庫本にして40数ページの短編。
猫の爪から、とんでもない悪事がばれ、思わぬ大物が捕らえられる。
その推理の飛躍が佐七親分の頭の冴えの見せ所。
それに引き替え、我が家の猫の爪は、と見ると、猫砂しかつまっていない(笑)。
(2006.8.30)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『音羽の猫』
人形佐七捕物帳 二
- 著:横溝正史 (よこみぞ せいし)
- 訳:姓名(ひらがな)
- 出版社:嶋中書店 嶋中文庫
- 発行:2005年
- NDC: 913.6(日本文学)短編時代小説・推理小説
- ISBN:4861563453 9784861563454
- 419ページ
- 登場ニャン物: 玉
- 登場動物: -
目次(抜粋)
- 音羽の猫
- 二枚短冊
- 離魂病
- 名月一夜狂言
- 蛍屋敷
- 黒蝶呪縛
- 稚児地蔵
- 敵討ち人形噺
- 恩愛の凧
- まぼろし役者