小島瓔ゆき『猫の王』

小島瓔ゆき『猫の王』

 

副題:『猫はなぜ突然姿を消すのか』。

著者のお名前は禮の字に似ていますが「示」のかわりに「ネ」を書きます。変換がどうしても出てこないのでひらがなで失礼します。

猫史および猫雑学だが、生物学としてのネコではなく、あくまで文献や民俗学、言い伝えなどに語られた猫たち。人間から見た猫である。

「序章」では、簡単な猫史を述べる。猫がエジプトで家畜化されたこと、そのエジプトでは神聖視されたこと、日本に仏典とともに渡ってきたこと、等々。

「第I部 猫の王の猫岳」では、猫の王や猫岳(猫の山)伝説について述べている。
熊本県阿蘇山の主峰のひとつ、根子岳は、猫岳とも書き、猫の王が棲む山と言われてきた。年一度、周辺の猫たちが列をなして猫岳に登り挨拶するという。猫たちの修行の山でもあるらしい。猫が突然いなくなると、人々は猫岳に修行に行ったというそうな。

同じような言い伝えが全国各地にある。さらに、ヨーロッパにも、猫の王伝説があるという。またヨーロッパでは、猫は魔女伝説と結びつく。猫は洋の東西を問わず霊的な存在とされたらしい。

「第II部 招き猫の成立」では、招き猫の由来や伝説が述べられている。有名な豪徳寺の招き猫、猫石、猫絵の殿様、猫の毛替えの風習や猫薬師、等々。

「第III部 猫山の世界」では、人々の間に行われた信仰などについて述べられている。山の猟師は猫に山で会うことを嫌い「猫」という言葉さえ使うことを避けたこと。ヨーロッパに広く見られる水車小屋と猫との伝説。手を切られた猫=魔女の話。猫の島の話。などなど。

日本各地の言い伝えや民話はもちろん、ヨーロッパや中国の文献も広く調べられていて、さらに作者自身の洞察もくわえられている。

猫好きはもちろんだが、猫に全然興味のないひとでも、民俗学や文化に興味のある人なら、読んで面白いだろう。猫のような身近で小さな動物を、人々はあるいは神としてあがめ、あるいは悪魔の使いとして恐れた。とんでもなく大切にされたこともあれば、容赦なく虐殺されもした。

・・・私の膝で眠る猫は、そんな猫と人間の歴史なんか知らぬ顔で、それは安らかに眠っている。
猫はずっとこうしてきたのだろう、その周りで人だけが、やれ神だ悪魔だ猫マタだと勝手に騒いできたのだろう。

(2006.2.20)

小島瓔ゆき『猫の王』

小島瓔ゆき『猫の王』

小島瓔ゆき『猫の王』

小島瓔ゆき『猫の王』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『猫の王』
猫はなぜ突然姿を消すのか

  • 著:小島瓔ゆき (こじま よしゆき)
  • 出版社:小学館
  • 発行:1999年
  • NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
  • ISBN:409626119X 9784096261194
  • 410ページ
  • モノクロ
  • 登場ニャン物:多数
  • 登場動物:-

 

目次(抜粋)

  • はじめに
  • 序章 猫は船に乗って
  • 第1部 猫の王の猫岳
    • 第1章 猫の王の御前会議
    • 第2章 ヨーロッパの猫の王たち
    • その他
  • 第2部 招き猫の成立
    • 第1章 招き猫の由来
    • 第2章 猫石と猫絵の時代
    • その他
  • 第3部 猫山の世界
    • 第1章 猫と狩猟信仰
    • 第2章 水車小屋の猫
    • その他

 

著者について

小島瓔ゆき (こじま よしゆき)

民俗学、日本古典文学専攻。現在、琉球大学教育学部教授。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


ショッピングカート

 

小島瓔ゆき『猫の王』

8

猫度

8.5/10

面白さ

6.5/10

情報度

9.0/10

猫好きさんへお勧め度

8.0/10

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA