赤川次郎『三毛猫ホームズの怪談』
猫屋敷で猫11匹と老婦人が殺されたのが事件の始まり。
片山義太郎は警視庁捜査一課の刑事。妹の晴美と、三毛猫のホームズと暮らしている。
石津は、目黒署の刑事である。
さて。
この小説が書かれた当時、日本各地で、農地がつぶされ、大規模団地が建てられていた。多摩ニュータウンもそのひとつ。民衆はそういう「モダーンな」住居に憧れていた。
晴美に絶賛片思い中の石津も、高層階の部屋に引っ越し、赤いスポーツカーまで購入した。なんとか晴美の気を引こうと全財産をはたいたのである。
石津に招待されて、晴美・片山・ホームズは多摩ニュータウンを訪れる。
団地群の周辺にはまだ、農村もわずかながら残っていた。時代に置き去られたような、昔ながらの集落。平和だったのに。
大地主の老婦人と、愛猫11匹が惨殺死体で見つかった!
犯人はすぐわかった。近所で自殺していたのだ。
なのに、事件は終わらない。さらにつぎつぎと人が死んでいく。殺されたのか、自殺したのか、事故なのか、それとも、・・・
同一犯による連続殺人事件?
さらなる謎。
最初に殺された大地主の老婦人は、猫を20匹余も飼っていた。しかし見つかった猫の死体は11匹のみ。
残りの約10匹の猫達は、どこへいってしまったのだろう?
今回も、妹の晴美が全員を引っぱり、猫のホームズが要所要所を抑え、石津や片山をしのぐ活躍をする。
石津は今回も、晴美しか見ていない。
片山は今回も、・・・女性恐怖症で「もてない男」を自認している男なのに、なぜかまた女性に言い寄られ、事件よりそちらにアタフタして、ホームズに頼りっきり。
三毛猫ホームズ、すごすぎ!
(1987年10月4日)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『三毛猫ホームズの怪談』
- 著:赤川次郎(あかがわ じろう)
- 出版社:角川文庫
- 発行:昭和59年(1984年)
- NDC: 913.6(日本文学)長編推理小説
- ISBN:4041497833
- 383ページ
- 登場ニャン物:ホームズ、琴
- 登場動物: