赤川次郎『三毛猫ホームズの大改装(リニューアル)』
3つの「リニューアル」が同時進行?
悪い仲間たちと、悪い遊びにはまっていた女子高校生。
片山と出会って「変身(リニューアルリニューアル)」を決意、まじめになって片山の「彼女」を勝手に名乗りだす★
彼女の父親は、元は売れっ子漫画家。今はアイディアも人気も気力も枯れ果てて、実質、無職の無能男。
バー勤めの妻に養ってもらっている。
幸い、漫画家としてまだ売れていた昔、マンションを一括現金払いで購入していたので、住む場所だけはある。
しかし、そのマンションも老朽化が進み、改装(リニューアル)の話が出ていた。
一方、こちらはS出版社。ワンマン経営の社長には誰も頭があがらない。
その社長が呼び出したのは、窓際族に追いやられていた男。
雑誌『QQ』の編集長に大抜擢!
が、出世と喜ぶことはできない。
この雑誌、最近不調で、もし今回の再編(リニューアル)が成功しなければ、部下もろともクビになる可能性が。
3つの「リニューアル」が絡み合った先に、殺人事件が待っていた・・・
なんかこの話は、赤川次郎氏自身の自戒とも読めました。
人はその人本来の仕事をすべき、目の前の利益やくだらない自尊心に踊らされて、脇道にそれてしまうと、いつかは痛い目に合うものだ、という。
ところでところで、やっと!
三毛猫ホームズシリーズ・カッパノベルス版の挿絵が、「三毛猫」になりましたよ★
「ホームズ」にはなっていないけど、でも、シマ猫やシャム猫が「三毛猫」になっただけでも進歩?
って、あまりにヒドイよ、光文社!
三毛猫は三毛猫だけど、この模様、まるで常滑焼の招き猫・・・
ホームズのお陰でどんだけ儲けているの?
猫嫌い編集部なのかもしれないけど、ホームズには敬意を表して、せめて挿絵くらいちゃんと描いてくれればいいのに。
プンプン!
赤川次郎氏は、ホームズがどんな外見の猫か、詳細に説明しています。
三毛猫で、体つきはほっそりとしている。配色がユニークで、背はほとんど茶と黒ばかり、腹のほうが白で、前脚(まえあし)が右は真っ黒、左は真っ白だった。鼻筋が真っ直ぐ通ったきりっとした顔立ち、ヒゲが若々しくピンと立っていて、顔はほぼ正確に、白、黒、茶色に三等分されていた。毛には絹のような光沢があって、実に艶やかだった。
シリーズ後半からホームズの形容がでてこなくなっていますが、さすがの赤川次郎氏もあきれ果ててもう「いう気も失せた」ということでしょうか。
でも、今回、ホームズは1回だけですが、「ナーゴ」と鳴きます(page19)。いつもは「ニャー」とか「ギャー」なのに。ちょい変化?
でもまだゴロゴロと喉を鳴らすシーンはでてきません。
(1999年2月15日)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『三毛猫ホームズの大改装(リニューアル)』
- 著:赤川次郎(あかがわ じろう)
- 出版社:光文社 カッパノベルズ 光文社文庫
- 発行:1998年
- NDC:913.6(日本文学)推理小説
- ISBN:4334073204 9784334073206
- 176ページ
- 登場ニャン物:ホームズ
- 登場動物:-