コレット『牝猫』
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猫好きの間では有名なフランスの小説。
二人は婚約し、結婚した。甘い新婚生活のはずだったのである。しかし、・・・
あまりに自己中心的な男、あまりにがさつな女、そして、あまりに美しい猫。
新婚生活は壊れるべくして壊れた。もとよりこの結婚には無理があった。
猫に魂を奪われてしまった男が、人間の女を愛せるはずがなかった。
人物のアンニュイな雰囲気と、小説全体を引き締める緊迫感という、相反する空気がみごとなバランス感覚で統一されている。猫のサハがなんとも魅力的だ。
ところで、猫の名前 “Saha” の表音だが、フランス語ではご存知の通りH音は発音しない。多分そのため、「サア」と表記されているケースをよく見かける。言語学的にはそれが正しいのだろうと思う。
しかし、本文中に2度も、“Hを強く発音する一種独特な調子・・・”という表現が見られるので、やはり「サハ」という表記の方がより近いのではないだろうか。私のフランス人の知人もH音はきれいに発音していたし。
なお、コレット自身、大変な猫好きで、他に猫が登場する彼女の作品には、中・短編集「動物との対話」、短編集「動物の平和」というのがあるらしい。
残念ながらまだ手に入らないのでまだ読んでいない。
(2002.4.10)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『牝猫』
- 著:コレット Colette
- 訳:藤雇子
- 出版社:新潮文庫
- 発行:1956
- NDC: 953(フランス文学)長編小説
- ISBN:
- 183ページ
- 原書: La chatte ; c1933
- 登場ニャン物: サハ(サア)
- 登場動物: -