金子隆一『知られざる日本の恐竜文化』

金子隆一『知られざる日本の恐竜文化』

 

日本の特異な恐竜文化のありようと問題点。

日本では毎年のように「恐竜ブーム」がわき起こり、ちまたに恐竜があふれる・・・かのように見える。

さぞかし日本の恐竜文化・恐竜産業は栄えているのだろうと思いきや、そうでもないらしい。
それどころか、実態は、実に寒々とした業界であり、「恐竜だけで食っていく」なんて、学者にせよ、アーティストにせよ、日本では無理だそうである。

その驚くべき実態を、金子氏が容赦なく暴き出す。

私が恐竜が「大衆文化」ではなく、狭い「オタクの世界」のものに過ぎないらしいと気がついたのは、かなり以前、とある恐竜専門誌が休刊したときだった。

私には、あれほどの専門誌が休刊しようとは、夢にも予測できなかった。
それどころかいずれは英語にも翻訳され世界的にもてはやされる雑誌に成長するだろうと期待していた。
そうなって当然と思われるほど内容が深く濃かった。

それが、あっという間に休刊!

「アニマ」の休刊と同じくらい驚いた。
がっかりした。
なかなか納得できなかった。
日本人恐竜ファンはそんなに少なかったのかと、呆然としたのである。

その専門誌とは、『恐竜学最前線』のことである。

金子隆一『知られざる日本の恐竜文化』

金子隆一『知られざる日本の恐竜文化』

その『恐竜学際前線』に、本著者の金子隆一氏もかかわってらした。
もちろん、この本でも少し言及されている。
私からみればあまりに謙虚なページ数で、「もっと書いてくれればよかったのに!」と残念におもった程度に、だけど。

金子氏の「オタク論」も面白い。
ウンウンと頷ける主張に、思わず頬がゆるむ。
金子氏はここでは「オタク」を肯定的にとらえている。
私も同感である。

金子隆一『知られざる日本の恐竜文化』

日本が誇る怪獣「ゴジラ」の骨格。ついニンマリしちゃいませんか?

本当のオタクとは、本当の専門家、真のプロフェッショナルのことだと思う。
お金を稼ぐ人間だけがプロではない。
お金がからまないからなおさら、深く鋭く極められる場合だって多々ある。

恐竜が職業として成り立たない(生活できない)以上、日本で恐竜学を深めたいならオタク化するしかないという。
オタクだろうと、その道を真に極めれば第一人者になれる、世界一にだってなれる。
オタク万歳、なのだそうだ。

そういえば、かつてノーベル賞受賞者の多くは、貴族という有閑階級だった。
ありあまる余暇とお金を使って、自分の好きな研究を極めた人たちだった。
つまり、オタクたちだった。

これからの将来、オタクこそ、日本人が極めるべき道かも!?
オタクから独自の文化が生まれ、研究が生まれ、目からうろこの発明が生まれるのだ!

(2009.6.4.)

金子隆一『知られざる日本の恐竜文化』

金子隆一『知られざる日本の恐竜文化』

金子隆一『知られざる日本の恐竜文化』

金子隆一『知られざる日本の恐竜文化』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『知られざる日本の恐竜文化』

  • 著:金子隆一(かねこ りゅういち)
  • 出版社:祥伝社新書
  • 発行:2007年
  • NDC:457.87(古生物学、化石)
  • ISBN:9784396110802
  • 273ページ
  • 登場ニャン物:-
  • 登場動物:恐竜たち

 

目次(抜粋)

第1章 経済的側面から見た恐竜文化
  はじめに/恐竜マーケットという幻想/資本主義と相容れない恐竜オタク/恐竜展の仕込み方/ほか

第2章 恐竜ブームの虚像と実像
  恐竜情報大国・日本/日本人は本当に恐竜を認知しているか?/恐竜の学術的定義/恐竜人気の源は恐竜映画か/ほか

第3章 恐竜学はオタクの科学
  恐竜ファンのヒエラルキー/そもそもオタクとは?/一次資料を集める恐竜オタク/恐竜に「萌え」ないのが恐竜オタク/ほか

第4章 日本の恐竜文化は、今
  突出する日本の恐竜アート「恐竜フィギュア」/恐竜フィギュアの夜明け/恐竜造形家・松村しのぶ/職業としての恐竜造形家/ほか

第5章 恐竜学はどこへいく
  恐竜学はなんの役に立つか/恐竜学と環境論の接点としての「大絶滅」/科学的議論を拒絶する人々/「流行病」としての分岐分類学/ほか

あとがき
日本恐竜年表

著者について

金子隆一(かねこ りゅういち)

神戸市生まれ。中央大学卒業。サイエンスライター。 主な著書に『恐竜学のすすめ』(裳華房)『新恐竜伝説』(早川書房)『大絶滅。』(実業之日本社)『哺乳類型爬虫類』(朝日選書)『最新恐竜事典』(朝日新聞社)『新世紀未来科学』(八幡書店)がある。TVの科学番組・イベントの監修などでも活躍し、有限会社「コンタクト」主査、古脊椎動物学会会員。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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