シェーファー『黒猫フーディーニの生活と意見』

猫が語る、野良猫から飼い猫になった一生。
フーディーニは野良猫の子供だった。
ある日、母猫が戻ってこなくなり、人間に捕まって、ある夫婦の飼い猫となる。
野良時代の猜疑心がなかなか消えないフーディーニは、最初は全然馴れない。
が、人間の辛抱強い世話に、次第に心を開いていく。
やがて犬のサムと大親友になり、ようやくフーディーニにも人生の楽しさがわかってくる・・・
猫のフーディーニが、子猫のグレースの為に書いた自伝、という形の小説。
このフーディーニ、正直言ってあまり性格が可愛いネコではない。
非常に疑り深く、思いこみが激しく、自称悲観主義者で、頭もあまり良さそうではないのだ。
人間の言うことは全然聞かない。
しかし、ネコという動物は決してヒトの思い通りになる動物ではないのだから、まあこんなものかなという気もする。
それにしても素直じゃないね。
フーディーニよりイヌのサムの方がずっと賢く書いてある。
というか、このサムは、何一つ欠点がない理想的なイヌとして登場するのだ。
だからますますフーディーニと対比してしまう。
原題は”The Autobiography of Foudini M. Cat”。
フーディーニという名前はもともと魔法使いか何かではなかったっけ?
M.は”Mouser”の省略だそうで、「ネズミ屋」とでもいったところだろうか。
もっともフーディーニは完全室内飼いのネコで、フーディーニ自信のネズミハンティングシーンは出てこなかった、と思うけど・・・どうだったかな(汗)。
なお、私が持っているのは英語版だが、もちろん和訳も出ている。
新潮社から、1999年発行、B6判の単行本、190ページ。
(2002.10.31)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『黒猫フーディーニの生活と意見』
- 著:スーザン・フロンバーグ・シェーファー Suzan Fromberg Schaeffer
- 訳:羽田詩津子(はた しづこ)
- 出版社:新潮社
- 発行:年
- NDC:933(英文学)小説
- ISBN:9784105381011
- 190ページ
- カラー、モノクロ、口絵、挿絵、イラスト(カット)
- 原書:”The Autobiography of Foudini M. Cat” c1997
- 登場ニャン物:フーディーニ、グレース、イーセル
- 登場動物:犬