風野真知雄『猫見酒』

「大江戸落語百景」。
それぞれ25ページほどの短編を十話集めたもの。「大江戸落語百景」の副題通り、いずれも江戸時代の庶民の生活を面白ろおかしく描いたもので、最後に落ちが付く。
猫が出てくるのは、『第七席 化け猫屋』と、タイトルにもなっている『第九席 猫見酒』の2つ。
『化け猫屋』は、ある猫婆さんの話。化け猫は出てこない、むしろ化け物は人間?
『猫見酒』は、呑ン兵衛な男たちの話。ただ飲むのも無粋だと、風流を気取ろうとした。雪見酒?月見酒?
花見酒はこの間やったばかりだし、雨見酒じゃ陰気だし。そこへどこからともなく現れたかわいらしい猫。
そうだ、猫見酒なんてどうだ?実に風流じゃないか!
この話の落ちは、猫好きさんなら「うん、うん」とうなづきたくなるような結末です。乞うご期待。
どの話も面白くて、お江戸らしい人情味もあって、一気読みしてしまいました。
(2012.3.18.)

風野真知雄『猫見酒』
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『猫見酒』
大江戸落語百景
- 著:風野真知雄(かぜの まちお)
- 出版社:朝日文庫
- 発行:2011年
- NDC:913.6(日本文学)小説
- ISBN:9784022646293
- 264ページ
- 登場ニャン物:タマ、ミミまたはクロエ
- 登場動物:
目次(抜粋)
第一席 ご天寿うなぎ
第二席 下げ渡し
第三席 無礼講
第四席 百一文
第五席 無尽灯
第六席 編笠息子
第七席 化け猫屋
第八席 けんか凧
第九席 猫見酒
第十席 苦労寿司