動物百科『ツシマヤマネコの百科』

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動物百科『ツシマヤマネコの百科』

 

ツシマヤマネコの知識を網羅。

対馬在住の山村氏は、ある日、不思議な生き物に遭遇した。
1972年11月のことである。

御尊父とシイタケ栽培の作業で山に入った二人のわずか30m先に巨大なヤマネコが現れたのだ。
ツシマヤマネコではない。あまりに大きすぎる。

息を殺して見つめる二人を尻目に、大ヤマネコは、向こう側の山の斜面をゆっくりとのぼって消えた。

大ヤマネコを見たなんて誰にも言えない。そんな動物は対馬列島には存在しないことになっているからだ。しかし気になって仕方がない。確かにこの目で見たのだから。

そんなある日、西表島の大ヤマネコのウワサを耳にする。新聞記事は否定的だったが、山村氏はますます落ち着かない。

こうなったら、大ヤマネコの生態撮影を決行するしかない!

山村氏とツシマヤマネコの関係は、こうして始まった。

今や山村氏抜きにはツシマヤマネコは語れないほどの重要人物だ。山村氏がいたからこそ、まだツシマヤマネコが絶滅せずに生きながらえているのだと言っても過言ではない。種の存亡という重圧を、ひとりで双肩に担っているような方なのである。

ツシマヤマネコを餌付けして、撮影のために一晩中暗闇で待つ。
糞を持ち帰っては分析する。
「ツシマヤマネコを守る会」 を設立し、啓蒙活動に奔走する。
放置された山畑を借りてソバなどを播く。人は食べない、ネズミなど山の小動物の餌用である。野ネズミが増えればツシマヤマネコの獲物も増える。

しかし、ツシマヤマネコは、山村氏がみた「幻の大ヤマネコ」ではない。
ツシマヤマネコとこれほど深く関わり合いながらも、山村氏は大ヤマネコといつか再会する日を待ち続けている・・・

日本国土に生息するネコ科動物は、飼い猫(イエネコ)をのぞき、対馬列島のツシマヤマネコと、西表島のイリオモテヤマネコの2種だけとされている。
しかし全国に「巨大猫」の言い伝えが残っていることは事実だ。
また、今でこそ絶滅して久しいが、先史時代に日本列島にトラやオオヤマネコが生息していたことは化石の出土で証明されている。

対馬列島のような狭い土地に、ツシマヤマネコと共存して、さらに大型のネコ類が生息可能かどうか、きわめて疑わしいと言わざるを得ないとは思うけれど、その一方で、他ならぬあの山村氏に限って、大きさを見間違えたり、ましてやウソを言ったりするはずはないとも信じているのである。
・・・大ヤマネコへのロマンを感じつつ、こちらは確かに生息する(しかし絶滅が危ぶまれている)ツシマヤマネコについて、じっくりと読んで欲しい。

(2008.7.20.)

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ツシマヤマネコはこんなにかわいい動物です。
彼らを絶滅させないために、本土の皆様も、どうかご協力ください。

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『ツシマヤマネコの百科』
動物百科

  • 著:山村辰美著 (やまむら たつみ)
  • 監修:今泉忠明 (いまいずみ ただあき)
  • 出版社:データハウス
  • 発行:1996年
  • NDC:489.53(哺乳類・ネコ科)
  • ISBN:9784887183230 4887183232
  • 78ページ
  • カラー
  • 登場ニャン物:ツシマヤマネコ
  • 登場動物:対馬の野生動物たち

 

目次(抜粋)

  • 第1章 ツシマヤマネコとは
    • 「ツシマ大ヤマネコ」との遭遇
    • 島の人のヤマネコ情報
    • その他
  • 第2章 対馬というフィールド
    • 九州より近い朝鮮半島
    • 文化的な影響
    • その他
  • 第3章 ツシマヤマネコの生態
    • ツシマヤマネコの一日
    • ツシマヤマネコの繁殖と子の成長
    • その他
  • 第4章 ツシマヤマネコのこれから
    • イリオモテヤマネコとツシマヤマネコの生息環境の違い
    • ツシマヤマネコはなぜ減ってしまったのか?
    • その他

 

著者について

山村辰美(やまむら たつみ)

長崎県対馬生まれ。長崎県庁職員。ツシマヤマネコの撮影に取り組み、独学で試行錯誤しながら5年後にようやく撮影に成功。以来、給餌・観察などの活動を通してヤマネコの保護を訴える。環境庁の「ツシマヤマネコ生息環境調査」にも地元調査員として協力する一方、1993年に発足した「ツシマヤマネコを守る会」の会長も務める。

今泉忠明(いまいずみ ただあき)

東京都生まれ。文部省の国際動物計画(IBP)調査、日本列島総合調査、環境庁のイリオモテヤマネコの生態調査に参加。トウホクノウサギやニホンカワウソの生態調査、富士山の動物相とその由来等を調査する。現在では川崎市環境影響評価審議会委員を務め、1994年に発足した日本ネコ科動物研究所の所長でもある。
(注:省庁名は本著の原文のママです。)

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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