小手鞠るい『愛しの猫プリン』

小手鞠るい『愛しの猫プリン』

 

見知らぬ土地で、心の支えは猫。

‘私’は、アメリカ人の夫と、アメリカに移住しました。

見知らぬ土地。馴れぬ生活。右も左も分かりません。知人もいません。言葉もわかりません。まさに無い無いづくしの生活。
冬になると、深い雪に閉ざされました。頼りの夫は朝から晩まで大学院で過ごさなければなりません。私はひとりぼっち。ますます引きこもる生活。広い一軒家が恨めしくなります。

そこへ光明をもたらした1匹の猫。

光明なんて物じゃありませんでした。生活のすべてが一変しました。猫のお陰で日本人の親友が出来ました。猫のお陰で英語が上達しました。猫のお陰で地域社会にとけ込めました。島清恋愛文学賞を受賞できたのも、きっとこの幸運の猫のお陰です♪ 夫と小さな翻訳会社を設立しました。すてきな土地に新たに家も買いました。
何もかも、すべて、猫のお陰。プリンちゃんのお陰。

私にとって、この世で一番の贅沢。
それは猫といっしょに過ごす静かな時間。
いつも私のそばに猫がいてくれる暮らし。
(p.248)

夫婦ともプリンちゃんにメロメロです。溺愛しきってます。でも、どこかさわやか。すてきな関係です。

猫好きなアナタなら、きっと「うん、うん、そう!」と首振り人形のように頷きながら、猫の魅力に浸れるでしょう。
最初から最後まで、ひたすら猫賛歌です。
プリンちゃん万歳なのです。

(2009.12.24)

小手鞠るい『愛しの猫プリン』

小手鞠るい『愛しの猫プリン』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『愛しの猫プリン』

  • 著:小手鞠るい(こでまり るい)
  • 出版社:ポプラ社 ポプラ文庫
  • 発行:2009年
  • NDC:914.6(日本文学)随筆、エッセイ
  • ISBN:9784591111956
  • 267ページ
  • 登場ニャン物:プリン(プディング、プーちゃん)、ほか
  • 登場動物:-

 

著者について

小手毬るい(こでまり るい)

岡山県生まれ。同志社大学卒業。2005年『欲しいのは、あなただけ』で、第12回島清恋愛文学賞を受賞。2009年、原作を手がけた絵本『ルウとリンデン 旅とおるすばn』(絵/北見葉胡)でボローニャ国際児童図書賞を受賞。おもな著書に『エンキョリレンアイ』シリーズ3部作のほか『空と海のであう場所』『猫の形をした幸福』『別れのあと』『時を刻む砂の最後のひとつぶ』『ありえない鯉』など、エッセイ集に『ウッドストックの森の日々』など多数。米ニューヨーク州ウッドストック在住。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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小手鞠るい『愛しの猫プリン』

8.8

猫度

8.5/10

面白さ

9.0/10

猫好きさんへお勧め度

9.0/10

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