noho『となりの妖怪さん』1

20歳になった猫、猫又に変身。

むかしむかし
この国では　八百万の神様と　人が共に　暮らしていました

やがて　その交わりの　あいだに―――
「妖（あやし）」が生まれたとされています

彼らは　神様から命を　授かった者や
人の心や　その言霊から　生まれた者も　いました

「妖」は　不可思議な姿と力を　持っていましたが
彼らにも　心があることが　わかると――
やがて人々に　受け入れられ、共に　生きるようになりました
多くの神様が　天にお帰りに　なった後も――

「妖」たちは　人のとなりに　在り続けました
エピローグ

noho『となりの妖怪さん』

そして現代。とある山合いの、のどかな町の話。
周囲は山と森と田んぼに囲まれ、人々はのんびり昔ながらの生活を送っています。
昔ながらの、といっても、子どもだってスマホを使い、東京に出れば六本木ヒルズを訪れ。
それなりに（？）現代なのですけれど、でも全体の雰囲気は、ほぼ昭和？

そして。

ふつうの人間にまざって、ふつうに妖たちも生活しています。
カラス天狗に、カッパに、ろくろ首、一つ目小僧、その他、名も知らぬ不思議な生き物たち。
あらゆる妖たちが、ごく自然に、人々と一緒に生活しています。現実世界で、外国人が日本人にまざっているよりもっと自然にです。背の高い人、低い人、太った人、痩せた人が、お互い違和感なく一緒に生活しているのと同じくらい、ニンゲンも羽が生えている者も毛の生えている者も、仲良くいっしょくたに生活しています。

ある男の子の飼い猫が、めでたく20歳になっただけでなく、猫又に変身するかもしれないと知って、子供たちはおおはしゃぎ！見たいみたいと大勢で、男の子の家に押し掛けます。猫・ぶちおはすでに猫又に変身済みでした。尻尾が二股にわかれ、とつぜん人語も話し始めました。家族は揃ってご馳走でお祝いし、新聞にも小さくのりました。

noho『となりの妖怪さん』

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ぶちおの、猫又としての修行がはじまります。化け狐のお姉さんを師匠に、まずは猫又の基本技、変化（へんげ）から。

「猫のときの20際は高齢だけど・・・
妖怪の20歳だとまあ・・・新卒って感じだから
がんばってね」
「し・・・新卒・・・
が・・・がんばります・・・・・・・！」
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このぶちお君が、なんともほんわかしていて可愛いんですよね。いっしょうけんめいで、まじめで、とっても素直な20歳のオス猫。あれ？どこかでみたような？

はい、うちのトロ、茶トラの雄、おおらかで、どこか抜けていて、でもとってもまじめな男（ウンチはしっかり埋めます。埋めすぎてまた掘出しちゃうほど！）。このトロがまさに今、20歳になったところ！

実はこのマンガ、実際に読んだのは少し前なんです。でもレビューは「トロが無事20歳を迎えてから」と決めていました。トロも、ぶちお君みたいに猫又になってくれたらいいのにと祈らずにいられなかったから。なってくれたら、そしたらずっと死ぬまで一緒に暮らせて、しかも私の死後の心配をしなくて済むのに！ぶちお、うらやましすぎるぞ！（もし自分の死後、飼い猫が残されたらと思うと心配でたまらなくなりますよね。でも猫又なら大丈夫☆）

妖怪だらけのマンガなんですけれど、そんなこと忘れてしあうほどに暖かく、むしろ妖怪たちのほうが人情味にあふれてるくらいです。よくある「おどろおどろしい妖怪ホラー」の真逆に位置するような絵とストーリーです。読み終わった後は、ほんわりします。続きが読みたくなります。2巻目は、もうすぐ発行予定のようですから、今から予約しておこうかなあ？

ぶちお君、猫又になっても控えめで、言葉遣いもずっと丁寧語で、おとなしい雄猫のままのようでありながら、いざというときは大活躍します。カッコイイ！まさに理想の猫、正統派ますらおで、かつ、愛すべきうちの子のまま♪　いいなあ。なんといっても、死なないのがいいなあ。守ってくれなくてよいから、トロ、まだいっちゃだめよ、もう少し一緒に暮らしたい・・・

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