岡本健太郎『山賊ダイアリー』全5巻

岡本健太郎『山賊ダイアリー』

 

副題:『リアル猟師奮闘記』。珍しいリアル狩猟マンガ。

著者で主人公でもある「岡本健太郎」は、

山県の超田舎の集落に生を受けました
友達の家まで片道で 7kmぐらいあったので あまり遊び相手に 恵まれていない子供でした

そんなぼくとよく遊んで くれたのは近所の猟師の おじいちゃんでした

そして

猟師のおじいちゃんを見て育った ぼくは大人になるという事は当然 猟師になることだ と思っていました

岡本健太郎『山賊ダイアリー』

岡本健太郎『山賊ダイアリー』

何年か経った。

大人に成長した岡本は、東京は池袋のバーでデートしていたりする。
しかし、いつか猟をやりたいという岡本青年の夢を知ったとたん、彼女は

「ええっ・・・!!最悪!!」
「さようなら 山賊さん」

と、岡本を捨ててしまう。

岡本はその後、地元の岡山に戻り、猟師免許を取り、ついに猟師となる。
得物は空気銃。罠をしかけることもある。
獲った獲物は、自分でさばいて自分で食べる。じっくり味わって食べる。
ウサギやハトはともかく、カラスやマムシまで。

マンガには、解体の様子や調理方法まで描いてある。
なのに、あまり血なまぐさい感じがないのは、細くて柔らかい線のせいか。
登場する猟師たちも細くなで肩な男たちばかりで、中でも若い猟師たちは皆、女のような細眉に頼りない体つき。
そして主人公の岡本は髪も長く、時には女性顔に見えるほど中性的だ。
住んでいるのはマンションだし。

そんな、一見ひ弱な現代青年が、空気銃をかついで山に入り、撃ち落としたカモを拾うために気温3℃の雪の日に池にはいったりする。
山を歩いても銃を撃っても、全然「逞しい」とか「頼もしい」感じはなく、おいおい大丈夫か、と心配になるくらいだ。
なのに、けっこうしぶとく、なんでも喰うし、なんとシカやウサギの糞まで食べちゃうらしい。
そのギャップが面白い。

岡本健太郎『山賊ダイアリー』

撃ち落とした獲物を拾うために冬の池に入る

シカやウサギの糞は 新しいものなら食べられます
セルロースやビタミンが 豊富にふくまれています

食感は粘土みたいです
味は保証しかねますが 山で遭難したらぜひ 思い出してみてください

サバイバルの知恵をありがとうございます、でも、思い出さざるを得ないような状況にならぬよう気を付けよう!
ウンチなんか食べたくないもん。
(私自身も、シカやクマが日常的に出没するような山村住まいです。)

内容的には、男性向けのマンガだろう。猫ちゃん大好きな繊細な女性には受けない内容だとは思う。
が、野生動物に関心のある人なら、女性でも興味深く読めるのではないだろうか。

なんといっても、実体験に忠実に基づいて描かれたマンガなので、写実的な絵柄ではないのに、妙な臨場感がある。
それとも そう思うのは、私自身が同じような田舎に住んでいるからだろうか。

私は、今の時代にレジャーの為の狩猟は反対というか絶対反対だが、しかしこのマンガは貴重な情報も多く、私にはとても興味深かった。

(2014.5.6.)

岡本健太郎『山賊ダイアリー』

山暮らしであれば役に立つ知識がたくさん。

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『山賊ダイアリー』全5巻
リアル猟師奮闘記

  • 著:岡本健太郎(おかもと けんたろう)
  • 出版社:講談社
  • 発行:2011年(第1巻)~
  • NDC:726(マンガ、絵本)
  • ISBN:9784063523911(第1巻)
  • 登場ニャン物:‐
  • 登場動物:野生動物達

 

第一巻【目次】

プロローグ
第一矢目 初猟Ⅰ・空気銃
第二矢目 初猟Ⅱ・ハト
第三矢目 猟友会
第四矢目 猟友会Ⅱ
第五矢目 カラス討伐
第六矢目 スネークイーター
第七矢目 カラスを食べよう
第八矢目 共猟Ⅰ
第九矢目 共猟Ⅱ
第十矢目 罠を作ろう
第十一矢目 プチ遭難
第十二矢目 ヌートリア
第十三矢目 Sniping
おまけ 禁猟期栄養補給編


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