瀬垣由維『猫たちの時間』
超金持の家にバイトにはいった大学生は・・・。
孤児で、ドジで、またまた下宿を追い出された無一文の大学生、それが俺、滝志郎。あてもなく道を歩いていたら、果てしなく続く煉瓦塀に行き当たった。何かの公共建築物・・・いや、ちがう、個人の住宅らしい!にしても、なんという広さだ!なんという大金持ちなんだ!
しかも、その門柱には「アルバイト募集」の張り紙が。仕事内容、遊び相手、条件、住み込み。
‘俺’は今、住むところはないし、第一腹が減ってこれ以上歩くことも出来ない。たまたま現れた猫に誘われるように邸に入っていく。なぜか雇用してもらえた。雇用主は、まだ17歳の少年。
が、こんな大金持ち、無事で過ごせるはず無いよね。大金持ちに必ずつきものの、骨肉争う相続問題、家庭崩壊、そして、連続殺人事件。
読後の感想は、なんか中途半端だなあというものだったが、それも道理で、どうやらシリーズ化される予定らしい。というより、すでに個人誌でシリーズ物として出されているそうだ。主人公の少年が非常に細かく描写されている一方で、他の登場人物の描写が荒く、そのギャップが‘中途半端’と感じた主原因である。しかしシリーズ物の第1作だと考えればそれはまあ理解できる。
猫のルトは随所にまとわりつくように登場してくるが、猫としてというより、象徴のような存在。名脇役ではあるけれど、脇役以上の存在ではない。
著者は育児のため、専業主婦となった後、現在HP上で作家活動中。
(2005.3.22)
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『猫たちの時間』
- 著:瀬垣由維 (せがき ゆい)
- 出版社:新風舎文庫
- 発行:2004年
- NDC:913.6(日本文学)小説
- ISBN:4797490233 9784797490237
- 203ページ
- 登場ニャン物:ルト
- 登場動物:-