リン・トラス『図書館司書と不死の猫』

リン・トラス『図書館司書と不死の猫』

 

永遠の生命を獲得した2匹の猫と、続く不審死。

「わたし」は、元図書館司書。最愛の妻を亡くしたばかりだ。傷心のあまり、妻の愛犬と一緒に、海辺のコテージで休暇を過ごしていた。

何気なく持ってきたノートパソコン、そこにEメールで送られてきた、あるファイル。送り主は”ウィンタートン博士”、ほとんど面識のない図書館利用者だ。ファイルのタイトル名は《ロジャー》。

妻のことを思い出しながら、そのファイルを開いてみると、驚くべきストーリーが展開されていた。「わたし」はいつしか、その内容に引き込まれ、ついにはどっぷり浸かることになる。驚くべき猫たちの、恐ろしい話。解明しようとすればするほど謎は深まり、ついには命の危険さえ・・・

この人語を話す猫とは何者なのか?
永遠の命を獲得しているというのは本当なのか?
人々は本当に偶然事故死したのか?それとも、猫が殺したのか?
猫たちの後ろに誰か黒幕がいるのか?

* * * * *

リン・トラス『図書館司書と不死の猫』

リン・トラス『図書館司書と不死の猫』

ホラー小説の部類に入るのだと思います。「猫は九生を持つ」等、猫=魔物的イメージがいまだ根強く残っている(らしい)イギリスでは、この話もかなりゾワゾワとくる内容なのでしょう。ところどころブラックユーモアで彩られた、怖くて空寒いミステリー。

でも私とって猫とは「どこまでも可愛い愛すべき動物」でしかないためか、なんか違和感といいますか、ゴチャゴチャしているばかりであまり面白くない、というのが、正直な感想でした。奇をてらったストーリー展開はわかりにくいし、猫は(私には)恐くないし、なのに残虐な場面もあって、「怖くて残虐な猫」というより「猫にそんなことをやらせるなんて、残虐な著者」という感想の方が強く。ブラックユーモアも、「これユーモアのつもりなんだろうけど、日本人の私にはどうもピンとこないなあ」だったし。

そして。

不死のはずの猫たちが、最後には結局、やっつけられてしまうというのも、なんか拍子抜け・・・

これではまるで、人間様の方が偉い・人間様こそ真の支配者なのだという、キリスト教文化の固定観念そのままじゃないか、とか思ったり。不死の猫が登場するというのであれば、最後の最後まで不死であってほしい!不死の猫!なんとも魅惑的な存在!うちのトロも不死とまでいかずともせめて私が死ぬまではずっと一緒に生きてほしかったよ!死なない猫、もし肉体をはげしく損傷されてもすぐに復活して戻ってきてくれる猫、そんな猫がもしいてくれたら・・・死なない猫が欲しいよ・・・
なんて想い出しながら読んだら、怖いはずにゃいですね。(苦笑)

ホラー好きさん、ミステリー好きさん向けの小説でしょうか。猫好きさんには今一かも。猫があまり猫っぽくないし、猫が死ぬ(殺される)シーンも出てくるし。

小説の評価は、どこまでその人の好みといいますか、きわめて個人的なものですし、私とはあまり相性がよくなかったけれども、この作家がイギリスでは人気というのは、私にも納得できる作品ではありました。きっと「すごく面白ろかった」と思う人もけっこういるのではないか、そんな気はします。登場する猫たちより、犬の方が犬らしく且つ魅力的に描写されていました。

リン・トラス『図書館司書と不死の猫』

リン・トラス『図書館司書と不死の猫』

リン・トラス『図書館司書と不死の猫』

リン・トラス『図書館司書と不死の猫』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『図書館司書と不死の猫』

  • 著:リン・トラス Lynne Truss
  • 訳:玉木亨(たまき とおる)
  • 出版社:株式会社東京創元社
  • 発行:2019年
  • NDC:933(英文学)小説 イギリス
  • ISBN:9784488010898
  • 241ページ
  • 原書:”Cat Out Of Hell” c2014
  • 登場ニャン物:ロジャー、キャプテン
  • 登場動物:犬

 

著者について

リン・トラス Lynne Truss

イギリス生まれの作家、コラムニスト、ジャーナリスト。2003年『パンクなパンダのパンクチュエーション』は、イギリスとアメリカでそれぞれ100万部をこすだいべすとせらーとなった。その他の著作(小説)に、The Lunar Cats(2017), A Shot In The Dark(2018)がある。

(著者プロフィールは本著からの抜粋です。)


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リン・トラス『図書館司書と不死の猫』

6.8

猫度

9.0/10

面白さ

5.0/10

愛猫家へお勧め度

6.5/10

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