羽根田治『野外毒本』
副題:「被害実例から知る日本の危険生物」。
ヒグマやイノシシ、野犬などの哺乳類から、各種ヘビ、イモリやカエル、蚊やアブなど昆虫たち、ヒル、ダニ、その他もろもろの生きものたち。
野山に入れば、誰だっていつでも遭遇する危険のある子たちだ。
イラクサ、ウルシ、バケイソウ、ハシリドコロ、その他の植物たち。
触ってかぶれるもの、食べて食中毒をおこすもの、花粉を飛ばしてアレルギーの原因となるもの。
イタチザメ、オコゼ、ウツボ、ウミヘビ、クラゲ、イソギンチャク、その他、海に生息する生き物たち。
サメなど言うまでもなく命の危険に直結するものから、磯をはだしで歩いてうっかり踏みそうなものまで。
と、このように、野外のあらゆる場所に生息する、あらゆる生きものについて説明されています。
その生きものについての簡単な説明のほか、
・被害の起こりやすい季節と時間帯
・予防
・症状
・応急処置
・見分け方
・仲間
・よく似た植物(生きもの)
・監察員からのアドバイス
・豆知識
なども載っていて、読み物としても興味深いつくりです。
さらに、心肺蘇生法、簡易担架の作り方などの説明もあります。
これだけ広く網羅されているのは、いかにも「山と渓谷社」らしいといえるでしょう。
この本1冊さえ携帯すれば、山へ登っても、野へ入っても、海にもぐっても、とりあえずの情報は得ることができるのですから。
当然、個々の説明は簡潔なものとなっていますが、病院へ駆け込むまでの応急処置には十分と思えます。
残念なのが、本文が白黒写真であること。
口絵のページはオールカラーなのですが。
見知らぬ生物を見分けるには、色も重要。
本文もカラーなら、もっともっとよかったのになあと、それがマイナス点です。
でも、今の時代なら、本をパラパラとめくって、原因となった生物が何だったかの見当をつけ、その後、スマホ等で検索すれば、カラー画像も詳細な説明も出てく増すからね。
何が何だかわからないときは、紙の本の方が速いです。
ケータイの電波がきていない奥山だってありますし。
キャンプに出かけたが、雨で楽しめないときとかも、この本を読んでいれば十分にアウトドア気分を味わえるでしょう(汗)。
※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。
『野外毒本』
被害実例から知る日本の危険生物
- 著:羽根田治(はねだ おさむ)
- 出版社:山と渓谷社
- 発行:2004年
- NDC:
480(動物学) - ISBN:4635500268 9784635500265
- 263ページ
- 口絵カラー、本文モノクロ
- 登場ニャン物:-
- 登場生物:さまざまな生き物たち・植物たち
目次(抜粋)
本書について
〈カラーページ〉
野山の危険生物
野山の危険植物
海の危険生物
〈本文解説〉
野山の危険生物
ヘビ類/イモリ類/カエル類/ヒル類/ムカデ・ヤスデ類/サソリ類/クモ類/ダニ類/ツツガムシ類/ガ類/甲虫類/ハチ類/アリ類/カ類/ヌカカ類/ブユ類/アブ類/マツモムシ類/大型動物/その他
野山の危険植物
花粉症やかぶれの被害を与える植物/食べてはいけない植物
海の危険生物
魚類/軟体動物/棘皮動物/節足動物/環形動物/刺胞動物/食べてはいけない海の生物/その他