リリアン・J・ブラウン『猫は日記をつける』

ブラウン『猫は日記をつける』

 

クィラランと、ココとヤムヤムの思い出など。

まずは、クィラランがどうやってココを手に入れたか。その経緯や、ココの才能を発見した過程などが、ごく大雑把にまとめられている。

つぎは、もちろん、クィラランがどうやってヤムヤムを手に入れたか。手に入れた、というより、救ったのだ。

それから、シリーズの各編で生じた出来事が、ランダムに簡単に紹介される。ココの恐ろしいほどにするどい第六感について。ヤムヤムの愛すべき収集癖について。翡翠コレクション盗難の真相や、秘密の通路の暴露。クィルペン(クィラランが新聞で連載しているコラム)で猫達のことを書いたこと。ヤムヤムが一度行方不明になったこと。利口なココの格言。その他。

ブラウン『猫は日記をつける』

ブラウン『猫は日記をつける』

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どれも、シリーズを最初から通読している人なら、知っている話です。でも、29冊もの長編、プラス、短編集が1冊という長丁場なのですから、全部は読まない人の方が多いかもしれません。

そういう人にお勧めなのが、この『猫は日記をつける』。薄い本で、字も大きく、短時間で読めます。そして『猫は・・・』シャム猫ココシリーズの雰囲気を、すっかり知ることができます。

ただ、私が非常に残念でたまらないのは・・・

これは「シャム猫ココシリーズ」ですよ!
何回でもしつこく繰り返させていただきますが、シャム猫ココとシャム猫ヤムヤムと、彼らの下僕・クィラランのシリーズです。
シャム猫です。

なのに!

どうして、本の表紙が、白黒猫なんですか?
さらに、本の中に出てくる22枚のイラストにも、シャムは1枚もない!トラ猫や白猫、ブチ猫が描かれていて、シャムは1枚たりとも無い!

これは、イラストレーターをはじめ、ハヤカワ文庫の編集者も校正者もその他も、シャム猫を知らないってこと?まっさかねえ?猛烈に違和感なんですけど。これじゃあまるで、桃太郎に付き添った動物たちが日本犬・キジ・ニホンザルではなく、どうみてもヨークシャーテリア・フラミンゴ・オランウータンに描かれている、なんてのと同じくらいに、私には違和感なんですけど。

イラストレーターの皆様、出版社の皆様、もう少し気を付けてください。こんな本作りはこれからの世の中、通用しなくなりますぞ!ネット炎上間違いなしですヨ。

『猫は・・・』シャム猫ココシリーズ まとめはこちら

ブラウン『猫は日記をつける』

ブラウン『猫は日記をつける』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『猫は日記をつける』
『猫は・・・』シャム猫ココシリーズ

  • 著:リリアン・J・ブラウン Lilian Jackson Braun
  • 訳:羽田詩津子(はた しづこ)
  • 出版社:早川書房 ハヤカワ文庫
  • 発行:2005年
  • NDC:933(英文学)アメリカ長編小説
  • ISBN:9784150772277
  • 173ページ
  • 原書:”The Private Life of The Cat Who” c2003
  • 登場ニャン物:ココ(カウ・コウ=クン)、ヤムヤム
  • 登場動物:

 

 

著者について

リリアン・J・ブラウン Lilian Jackson Braun Bettinger

1913年6月20日 – 2011年6月4日。アメリカの推理作家。
10代の頃から約30年、新聞社に勤務。
1962年、飼い猫のシャム猫がマンションの10階から突き落とされて殺された怒りと悲しみを忘れるために、記者業の傍ら執筆した短編「マダム・フロイの罪」(原題:The Sin of Madame Phloi)が『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』6月号に掲載され作家としてデビュー。エラリー・クイーンに「もっと猫の話を書くよう」勧められたことから、ココ・シリーズが生まれたという。
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