村山由佳『晴れ ときどき猫背』

村山由佳『晴れ ときどき猫背』

 

大の猫嫌い男も、いつしか猫好きに大変身!。

村山氏は「はじめに」でこう書いています。

もともと、いわゆる「猫エッセイ」を書いているつもりのなかった私にとって・・・

どうしてどうして!
バリッバリの、猫エッセイなんですけど、これ(笑)。
全編猫だらけ、猫まみれの猫話ばかり。
猫のこと以外には、馬のことが少々書いてあるだけです。
これを「猫エッセイ」といわずして、なんと申しましょうぞ?

「はじめに」には、ほかにも、今読めば興味深い記述があります。

思えば、連載が始まった当初は、猫好きではない読書の方たちからシビアなメッセージが寄せられたりもしたものでした。
〈どうしてよりによって猫の話なんですか?ぜんぜん興味が持てません〉
〈もっと万人が楽しめる話題にして下さい〉

あららー。
この連載は、2000年8月に始まったそうです。
わずか十数年前まで、猫エッセイはこんな扱いだったんですか!?びっくり!

幸い(笑)、その後のネット普及に伴う「空前絶後の猫ブーム」やら「ネコノミクス」やらのお陰で、今や猫と暮らしていいながら、いえたとえ飼っていなくても猫好きと公言した作家が、猫のことを書かないでいると
「どーして猫の話を書かないんですか!?みんな待っているのに!」
と、読者に怒られるような世の中になってきました。
これでこそまともな世の中にゃ~良きかにゃ、良きかにゃ★

この本の一番最初の出だしは、こう始まります。

・・・・・・こんなオトコ、今に別れてやる。
私が最初にそう思ったのは、結婚して間もないある日、夫のM氏がこう言ったときだった。
「俺といる限り、猫はあきらめな」
その瞬間のショックを、どう言えばいいだろう。目の前が暗くなるなんてものじゃなかった。この先の人生そのものが真っ暗になる思いがした。
page016

M氏の猫嫌いは、そりゃもう筋金入りで、村山氏は結婚後何年も、猫と暮らせずにいたのです。
ところが、ある一匹の三毛猫が、M氏のかたくなな心を開き、解かし、押し広げ、だだっぴろげに押開いて、ついに猫一家との生活が実現してしまったのです。
その過程が面白可笑しくえがかれています。

といっても、主役はあくまで猫達。
最初に現れた猫、こばん。
その娘、真珠。
その娘たち、かすみ、もみじ、麦、つらら。

自然豊かな千葉県は鴨川市の郊外で、海と山に囲まれて、猫たちは自由気ままに生活しています。
村山氏も、無農薬野菜を作ったり、馬に乗ったりと、自然を満喫しています。

もちろん、自然が豊かということは、ヘビなど野生動物達も豊かに生息しているということでもあり。
猫たちを外出自由にしている以上(というか、野良猫たちを馴らしてついに飼い猫にしたというのが実情)、猫たちの”そういう”お土産も豊富、ということになっちゃいますが。

猫たちにはまり、乗馬にはまり、田舎生活がすっかり気に入ってしまった著者夫婦は、やがて、もっと広い土地を入手して、農地(=農業権)まで獲得しようと計画しはじめます。

心温まる「猫エッセイ」(←強調)。
猫や動物が好きな方、自然が好きな方に、とくにおすすめ。

(でもねー
著者同様、農村に転入しついに農地を獲得した私(管理人)からひとこと。
この本を読んで、田舎暮らしに憧れたとしても、簡単に引っ越したりされませんよう、助言させていただきます。
「のんびり田舎暮らし」は妄想です(断言)。
田舎暮らし、まして農業なんて始めたら、都会暮らしとは比較にならないくらい多忙、体力も気力も必要です。
当地でも、数年で都会に逃げ帰る人があとを絶ちません。)

村山由佳『晴れ ときどき猫背』

村山由佳『晴れ ときどき猫背』

村山由佳『晴れ ときどき猫背』

村山由佳『晴れ ときどき猫背』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『晴れ ときどき猫背』
seabreeze from kamogawa 2

  • 著:村山由佳 (むらやま ゆか)
  • 出版社:集英社
  • 発行:2002年
  • NDC:914.6(日本文学)随筆、エッセイ
  • ISBN:4087812758 9784087812756
  • 199ページ
  • カラー
  • 登場ニャン物:こばん、真珠、かすみ、もみじ、麦、つらら
  • 登場動物:ジャック、シェイミー(馬)

 


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8.7

猫度

9.0/10

面白さ

8.5/10

猫好きさんへお勧め度

8.5/10

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