桑原眞二『山古志村のマリと三匹の子犬』

桑原眞二『山古志村のマリと三匹の子犬』

 

副題:『これは本当にあった物語です this story is based on the facts』。

著:桑原眞二(NPO法人ながおか生活情報交流ねっと)、絵:大野一興。

世の中におきるいろいろなことは
たった二種類しかないそうです。

ひとつは「どうにもならないこと」
もうひとつは「どうにかなること」

マリは、その二つについて
わたしたちに教えてくれました。
page7

と、始まる、この絵本。
表紙にも書いてある通り、事実に基づく物語です。

マリは、豊さんの飼い犬。
おじいさんも一緒に暮らしています。
(映画に登場する子供たちはいません。)

絵本は、山古志村の豊かな自然の紹介から始まります。
美しい山々が、鮮やかな色彩で描かれています。
山古志村の錦鯉は、泳ぐ宝石、世界中の愛好家たちの憧れでした。
神聖なお祭り「牛の角突き」も名物です。
山古志村の人たちは、牛を大事にし、「牛小屋」と呼ばず「牛アパート」と呼ぶほどでした。

マリの幸せな日々。
そして、可愛い子犬たちの出産!

けれど・・・・・・・・・
幸せなときにかぎって
大変なことはおきるものなのです。

マグニチュード6.8の大地震。
一瞬にして山が崩れ、家が崩れ、そして、お爺さんも倒れてきた家具にはさまれて動けなくなりました。
そのとき、豊さんは町に出ていて留守でした。

マリはガラスの破片で足を血だらけにしながら、おじいさんの元へ駆けつけます。
ペロペロなめて必死に慰めます。
それから子犬たちのところに駆け戻ります。
おびえた幼い命を必至に守ります。
それを何回も繰り返すのです。
往復するたびに、マリの怪我は増えます。

そんなマリに励まされて、おじいさんは気力を取り戻し、死力を振り絞ってやっと、脱出することに成功しました。

自衛隊のヘリコプターが救助に来ました。
しかし、ヘリコプターにマリたち犬は乗せてもらえませんでした。

5日たちました。

10日たちました。

人間のいない、食べるものも無い、瓦礫と廃墟の山古志村で、マリは、生まれて初めての狩りをして、子犬たちを育てます。

大地震から16日後。
ようやくマリと子犬たちは救助されました。

マリはどんなときだって
けっしてあきらめないのです。

美しい挿絵、実話、ハッピーエンディング。

こんなに良い本なのに、ちょっと惜しいと思ったのは、漢字のルビが少ないこと。
こういう本は子供たちにも積極的に読んでほしいと思います。
小学校低学年でも読めるように、全部の漢字にルビがふってあればもっと良かったのになあ、と思わずにいられません。

桑原眞二『山古志村のマリと三匹の子犬』

桑原眞二『山古志村のマリと三匹の子犬』

マリたちは幸い助けられました。
けれども、災害時に、すべてのペットや家畜が助かるわけではありません。

7年後におこった東日本大震災では、途方もないほどの多数の動物たちが・・・犬も、猫も、牛も、豚も、鶏も、ダチョウたちまで・・・死にました。
建物の下敷きになったなど瞬間的な死に方ならまだ良い方です。
途方もないほど多数の動物たちが、・・・見捨てられ、置き去りにされ、飢えて、病んで、怪我をして、共食いをして、そして、餓死しました。
家の中に閉じ込められたまま、牛舎や豚舎に閉じ込められたまま、ガイコツのようにやせ細って、餓死しました。

恐ろしいことに、東日本から2年たった今でもなお、多くの動物たちが、福島の警戒区域内に残され、今日も苦しんでいます。

動物たちの世話をしにボランティアさん達が活動してくださっていますが、そのボランティアさん達も文字通り命がけです。
放射能という、目に見えない敵に、おびえながらの活動です。

これが、現実・・・

ただひとつ、これだけは皆様に伝えたい、すばらしい事もありました。

マリたちの苦難を、新潟県は無駄にしませんでした。
新潟県は、東日本大震災のとき、ペット同伴避難を「当然のこととして」受け入れてくださったのです。
他県の多くの避難所がペットを拒絶した中で、新潟県は光り輝いていました。
まさに希望の光でした。

マリちゃん!
マリちゃんは、おじいさんと子犬たちだけでなく、東北のペットたちもすくったんだよ!
すごいね!
ありがとう!
ありがとう!

なお、この本は映画化もされました。

『マリと子犬の物語』
2007年制作 東宝 124分
監督:猪股隆一
出演:船越栄一郎、松本明子、広田亮平、他

(2013.2.10.)

 

追記

書評コンテンツのリニューアルをしながら検索しましたところ、・・・
残念ながらマリちゃん、亡くなっていました。
2017年12月10日、享年15歳。
ご冥福をお祈り申し上げます。
(2018.6.7.)

桑原眞二『山古志村のマリと三匹の子犬』

桑原眞二『山古志村のマリと三匹の子犬』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『山古志村のマリと三匹の子犬』
これは本当にあった物語です this story is based on the facts

  • 著:桑原眞二
  • 絵:大野一興
  • 出版社:文芸春秋
  • 発行:2005年
  • NDC:645.6(家畜各論・犬、猫)
  • ISBN:9784163669601
  • 119ページ
  • カラー
  • 登場ニャン物:-
  • 登場動物:犬

 

目次(抜粋)

Story [物語]
Mari’s Photo Album [写真集]
Mari’s Diary[記録]
Afteerwords[あとがき]

 


ショッピングカート

 

桑原眞二『山古志村のマリと三匹の子犬』

桑原眞二『山古志村のマリと三匹の子犬』
8.2

動物度

8.5 /10

面白さ

8.5 /10

猫好きさんへお勧め度

7.5 /10

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA