リリアン・J・ブラウン『猫は幽霊と話す』

ブラウン『猫は幽霊と話す』

 

悲劇の女性、アイリス・コブ。

アイリス・コブは、クィラランがまだ部屋住みの庶民だったころ、大家だった人である。
クィラランが莫大な遺産を相続してムース郡一の金持になると、南から引っ越してきて、クィラランの家政婦になった。
その後、この北の町で出合った男と結婚した。
彼女にとって、3回目の結婚だった・・・しかも、もっとも短く、もっとも不幸な結婚だった。
彼女の新郎は、結婚式直後に、クィラランのK屋敷に放火して屋敷ともども焼け死んでしまったのである。

不幸な人生。

にもかかわらず、彼女はいつも明るく、前向きだった。
グッドウィンター農場博物館の住み込み館長に就任し、さらに、近々開店予定のアンティーク・ショップの共同経営者にもなった。
今度こそ、幸せになれるはずだったのに。

ある晩、クィラランに、切羽詰った電話がかかってくる。
アイリスは幽霊(?)に怯えていた。
あわてて駆けつけるも空しく、アイリス・コブは、すでに冷たくなっていた。
持病の心臓が発作を起こしたらしい。

クィラランは、しかし、釈然としないものを感じる。
アイリス・コブは、本当に病死なのか?
彼女はいったい何にあんなに怯えていたのだろう?

愛猫のココとヤムヤムを連れて、クィラランはグッドウィンター農場博物館に泊まり込む。
次の館長が決まるまで、博物館を誰かが守らなければならないから、というのはクィラランの口実で。

クィラランの口ひげと、ココの霊感が、何十年も前からの事件を紐解いていく。

ブラウン『猫は幽霊と話す』

ブラウン『猫は幽霊と話す』

*****

アイリス・コブ夫人、死んでしまいましたね。
こういうキャラの人は、脇役としてずっと活躍するのかと思っていましたが。

それにしても、ブラウン女史。コブ夫人に対して、あまりに冷たくありませんか?
3回も結婚したのに、3回とも夫を失ってしまう、それだけでも女性としては相当つらいものがあるのに。
その3回とも、なんらかの事件絡みの死で。
そして最後には自分も殺されてしまう?

コブ夫人は、あんなに善人なのにねえ。
クィララン(およびブラウン女史)の好みの女性ではないようですが、それにしても、ちょっと冷たすぎる気がします(汗)。

ほかにも不幸な女性が出て来ます。
その一方で、あのアマンダとアーチ・ライカがよりを戻していたり(アマンダのどこがいいの?笑)。

新しい猫も登場します。
クィラランの彼女、ポリー・ダンカンの子猫「ブーツィー」ちゃん。
彼女に頼まれて一晩ブーツィーを預かりますが、その時の騒動がおかしい!
大男のクィラランがちっぽけな子猫に翻弄されっぱなし、背中にはりついちゃった子猫をはがせずに、近所の人にSOSコールまでしちゃう始末 =^・^= ニャハ。

この子猫の登場で、ポリーとクィラランの関係もあやしくなってきます。
さて、この後、どう展開していくのやら?

『猫は・・・』シャム猫ココシリーズ まとめはこちら

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『猫は幽霊と話す』
『猫は・・・』シャム猫ココシリーズ

  • 著:リリアン・J・ブラウン Lilian Jackson Braun
  • 訳:羽田詩津子(はた しづこ)
  • 出版社:早川書房 ハヤカワ文庫
  • 発行:1994年
  • NDC:933(英文学)アメリカ長編小説
  • ISBN:415077296 9784150772093
  • 341ページ
  • 原書:”The Cat Who Talked To Ghosts” c1990
  • 登場ニャン物:ココ(カウ・コウ=クン)、ヤムヤム、ウィリアム・アレン、ブーツィー
  • 登場動物:

 

 

著者について

リリアン・J・ブラウン Lilian Jackson Braun Bettinger

1913年6月20日 – 2011年6月4日。アメリカの推理作家。
10代の頃から約30年、新聞社に勤務。
1962年、飼い猫のシャム猫がマンションの10階から突き落とされて殺された怒りと悲しみを忘れるために、記者業の傍ら執筆した短編「マダム・フロイの罪」(原題:The Sin of Madame Phloi)が『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』6月号に掲載され作家としてデビュー。エラリー・クイーンに「もっと猫の話を書くよう」勧められたことから、ココ・シリーズが生まれたという。
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