リリアン・J・ブラウン『猫は泥棒を追いかける』

ブラウン『猫は泥棒を追いかける』

 

コソ泥の正体は?南でおこった殺人の犯人は?。

どこからも400マイル北に位置する町のよい所は、治安がよいこと・・・の、はずだった。

なのに、なぜか最近、窃盗事件が増えていた。盗まれるのは、たいして値の張らないものばかり。とはいえ、鍵をかける習慣のない人々、不安はかくせない。

また、北の田舎にわざわざ移住してくる人もいた。

新しい銀行頭取が来た。人当たりの良い紳士である。田舎町にすぐに溶け込んで、社交術を発揮した。

が、彼の妻、ダニエルは不釣り合いに若く、派手で、スカートも短すぎた。要はピカックス市で彼女は浮きまくっていた。人々は、なぜあの紳士が、こんな(失礼)妻を選んだのか不思議がった。しかも、相当な愛妻家なのだ。

さらに、ダニエルのいとこの出現で、町はざわめく。そのいとこは有名な(古建造物の)修復コンサルタントだそうで、ある大規模な計画をたてていた。

一方、クィラランは、インディアン・ヴィレッジのコンドミニアムを購入し、冬の間はそちらで過ごすことにした。彼の自宅――広大な元リンゴ貯蔵納屋を大胆に改装したもの――は、冬をすごすには、暖房が大変すぎた。なにしろ4階までの吹き抜けがあるのだ。家全体を均等に暖めるのは不可能だ。

それになんといっても、そのお向かいにはポリーが住んでいた。クィラランのガールフレンドである。公認のカップルなのに、頑として結婚を否定する二人。でも、よい歳をして、堂々と手をつないで歩く二人。

イベント好きなヒクシーはまたもや、大きなイベントを計画していた。ムース郡は、夏は避暑客でにぎわうが、冬は雪と氷に閉ざされてしまう。ならいっそ、氷の祭典でも開こうじゃないの!スノーモービルに犬ぞり、氷上パレード、美味しい食べ物。観光客1万人を見込んで、その準備におおわらわ。

しかし、毛むじゃらなケムシたちは、暖冬を予言してた。少なくとも、百姓たちは、ケムシたちの様子をそう読み取っていた。百姓たちは、最新の科学的長期天気予報より、ケムシ予報を信じていた。

そして、シャム猫ココはなぜか、クィラランに送られたクリスマスプレゼント「メルヴィル全集」に興味を示す。

クィラランには、ココの意図はわからない。が、すでに彼は、この尋常ならざる猫を信じるべきであることを、よく学んでいた。たとえ、今のクィラランには真相がさっぱり見当つかなくとも。

懸命な対処方法は、感受性をたかめ、心を開いておくことだ。ただし、クィラランはひとつだけ、手がかりを発見していた。ふつうの猫は眉毛も含めて片側に二四本ずつヒゲがあったが、ココは三十本あったのだ!
page65

もちろん、ココは事件を察知していたのだった。

ブラウン『猫は泥棒を追いかける』

ブラウン『猫は泥棒を追いかける』

*****

クィラランの思考(嗜好?)の方向は、私と似ているようです。(笑)

クィラランは、夏の住まい(大胆に改造された元リンゴ貯蔵納屋)に慣れていました。広大な敷地(元リンゴ園)の真ん中にポツンとそびえた一軒家です。当然、静寂に囲まれ、ふだんは鳥の鳴き声くらいしか聞こえません。

が、インディアン・ビレッジのコンドミニアムは、周囲を住民と、彼らの出す音に囲まれていました。クィラランは隣人のシャワー音やステレオの音等に悩まされます。が、いざその隣人・ウェザビーグッドと会ってみると、

(前略)ウェザビーは引用をやたらにするし、風変りな音楽も趣味があるとはいえ、愛想はいいし善人なのだ、と考えていた。(中略)ウェザビーは猫を飼っているから、それは人物証明になるだろう。
page118

また、別の場所でも

「(前略)猫を飼っているというから、そう悪い人間じゃないよ。(後略)」

猫を飼っているという事実だけで、「人物証明になる」「悪い人間じゃない」と思ってしまう50代男を、可笑しいと思いますか?それとも、あなたも「そりゃ、猫を飼っているなら当然善い人でしょう」と同意してしまいますか?・・・私はもちろん、後者でございます。

そんな私ですから、この作品で、ちょっと残念だと思った部分もありました。

クィラランは、彼の新聞コラムで、猫の名前を一般募集します。彼の予想をはるかに上回る数のハガキが届きました(この作品が執筆された当時、eメールはありませんでしたからね☆)。なのに、その集約については、327-328ページにちょろっと書かれているだけ。実質1ページ分もない、わずか4項目にまとめられた洞察だけなんです。

つまらにゃい!

たしかに小説の本筋と猫の名前は関係ないことかもしれません。でもこれ、猫ミステリーシリーズですもの。もう少し詳しく取り上げて欲しかったですよね?皆さんだって、人々が猫たちにどんな名前をつけているか、興味ありますよね?

『猫は・・・』シャム猫ココシリーズ まとめはこちら

ブラウン『猫は泥棒を追いかける』

ブラウン『猫は泥棒を追いかける』

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『猫は泥棒を追いかける』
『猫は・・・』シャム猫ココシリーズ

  • 著:リリアン・J・ブラウン Lilian Jackson Braun
  • 訳:羽田詩津子(はた しづこ)
  • 出版社:早川書房 ハヤカワ文庫
  • 発行:1999年
  • NDC:933(英文学)アメリカ長編小説
  • ISBN:9784150772185
  • 342ページ
  • 原書:”The Cat who tailed a Thief” c1997
  • 登場ニャン物:ココ(カウ・コウ=クン)、ヤムヤム、ブーティー(ブルータス)
  • 登場動物:-

 

 

著者について

リリアン・J・ブラウン Lilian Jackson Braun Bettinger

1913年6月20日 – 2011年6月4日。アメリカの推理作家。
10代の頃から約30年、新聞社に勤務。
1962年、飼い猫のシャム猫がマンションの10階から突き落とされて殺された怒りと悲しみを忘れるために、記者業の傍ら執筆した短編「マダム・フロイの罪」(原題:The Sin of Madame Phloi)が『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』6月号に掲載され作家としてデビュー。エラリー・クイーンに「もっと猫の話を書くよう」勧められたことから、ココ・シリーズが生まれたという。
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ブラウン『猫は泥棒を追いかける』

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7.1

猫度

6.5/10

面白さ

7.0/10

猫活躍度

8.0/10

猫好きさんへお勧め度

7.0/10

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