リリアン・J・ブラウン『猫はスイッチを入れる』

ブラウン『猫はスイッチを入れる』

 

骨董品の街で、事故か?自殺か?殺人か?連続して・・・。

クィラランは、住居を必要としていた。
問題は、シャムネコのココとヤムヤム。
猫が2頭もいるとなると、家具付きアパートは嫌がられるかも?
部屋だけのアパートを借りて、自分で家具を買いそろえる方がよいか?

そのためには、なによりもまず、資金が必要だ。
てっとり早く資金を獲得するには、クリスマスの記事コンテストに良い記事を出して賞金をもらえばいい!

上司のアーチ・ライカが骨董品に夢中になっていることもあり、クィラランは骨董品に焦点を当てる。
さっそく骨董品店が並んでいる界隈にいき、そこに猫可の古アパートをも見つけて引っ越す。

聞けば、最近、ある骨董ディーラーが亡くなったという。
正義感の強い男で、うっかり鋭い骨董品の上に落ちたそうだ。
警察はすでに単なる事故として片づけている。

が、例によってクィラランの口ひげがピリピリした。
何か変だ?

そして、また。
そして、さらにまた・・・。

ブラウン『猫はスイッチを入れる』

ブラウン『猫はスイッチを入れる』

*   *   *

便利な世の中になりましたねえ。
何が便利かって?
そりゃ、知らないものについて、簡単に検索できるということです。

アンドリュー・グランツが落ちたのは、骨董品の「屋根のフィニアル」の上でした。
ふぃにある?なんじゃ、それ?
骨董品に興味のない私にはわかりません。
なにやら尖った物らしいけど、・・
で、検索。画像を見て合点。

ほかにも骨董品はいろいろと出て来ます。
たとえば、馬具飾り。馬なら乗ったことあるけど、骨董的価値を生みそうな飾りなんてあったっけ?
で、検索。画像を見て思い出す。
言われてみれば、ヨーロッパ旅行でこういうの、見たことあったような。でも馬にとっては不用品だわよねえ。

猫たちが、あいかわらず、良いアクセント、良いスパイスとなって、小説を飾っています。
ココは確かな目的・・・事件解決の意図・・・を持って行動しているように見え、でも、こういうことって、どの猫もするんだよなあ!
その辺の微妙な扱い方が、実にうまい。
日本にも『三毛猫ホームズ』という有名な長期シリーズ物がありますが、そこに登場するホームズは「猫がこんなことするわけない!」というような不自然な動きが多く、さらにホームズの扱いについては「これじゃあ虐待に近いんですけど!?」的な場面が多々あって・・・このシリーズ、別に猫じゃなくてもいいんじゃね?『ブチ犬ホームズ』とかにしておいた方がストーリーが自然で作者も楽だったんじゃね?なんて思っちゃったりするわけですが、

この『猫は・・シリーズ』は♪

ココは猫でなくちゃだめです。他の動物では、この役は務まりません。シャムネコという品種選びも良いですねえ。おしゃべりで、活発で、人との距離が近く、好奇心旺盛な品種。
ヤムヤムも良い味を出しています。やや斜視な目が、クエスチョンマークにちょいと曲げられた尻尾が、スリスリして歩く様子が、目の前に見えるように描写されています。

推理小説としても面白いのですが、描かれている町の様子、人びとの様子、骨董品が並んでいる様子など、どれも具体的で、映画を見ているようです。
わからないものは、画像検索すれば良いし♪

登場人物が多いのは、アメリカ小説の特徴でしょうか。
幸い、重要な16人+2匹については、中表紙裏に一覧で書いてあるので、そう混乱することは無いと思います。

『猫は・・・』シャム猫ココシリーズ まとめはこちら

 

※著作権法に配慮し、本の中見の画像はあえてボカシをいれております。ご了承ください。

 

『猫はスイッチを入れる』
『猫は・・・』シャム猫ココシリーズ

  • 著:リリアン・J・ブラウン Lilian Jackson Braun
  • 訳:羽田詩津子(はた しづこ)
  • 出版社:早川書房 ハヤカワ文庫
  • 発行:1990年
  • NDC:933(英文学)アメリカ長編小説
  • ISBN:4150772045 9784150772048
  • 310ページ
  • 原書:”The cat who turned on and off” c1968
  • 登場ニャン物:ココ(カウ・コウ=クン)、ヤムヤム
  • 登場動物:

 

 

著者について

リリアン・J・ブラウン Lilian Jackson Braun Bettinger

1913年6月20日 – 2011年6月4日。アメリカの推理作家。
10代の頃から約30年、新聞社に勤務。
1962年、飼い猫のシャム猫がマンションの10階から突き落とされて殺された怒りと悲しみを忘れるために、記者業の傍ら執筆した短編「マダム・フロイの罪」(原題:The Sin of Madame Phloi)が『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』6月号に掲載され作家としてデビュー。エラリー・クイーンに「もっと猫の話を書くよう」勧められたことから、ココ・シリーズが生まれたという。
『猫は・・・』シャム猫ココシリーズ まとめはこちら


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